ZEBロードマップとは、「将来に向けたZEBの普及促進に関する取り組み・施策」を指します。
ZEBロードマップの内容について理解し、近い将来どのような変化が起こるのかを予測することで、競合の企業より有利な立場を築くことが可能です。
この記事を読めば、「ZEBロードマップとは何か」「ZEBロードマップによる今までの成果」「ZEBロードマップによる今後の取り組み」について理解できます。ぜひ本記事を参考にしてください。
ZEB(ゼブ)とは?
ZEB(net Zero Energy Building)とは、快適な生活環境を損なうことなく省エネルギー、創エネルギーによって、建物全体の総消費エネルギーが大幅に削減された建築物です。
ZEBの中でも、エネルギー削減量によって次の4つに分類されます。
- ZEB
- Nearly ZEB
- ZEB Ready
- ZEB Oriented
それぞれのランクによって必要な一次エネルギー消費の削減量、創エネルギー量、条件は異なります。
ZEBについて詳細を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
参考:ZEBとは?取得のメリットや事例紹介、補助金制度についても専門家が徹底解説。
ZEBロードマップとは?
ZEBロードマップとは将来に向けたZEBの普及促進に関する取り組み・施策のことです。
2015年12月、経済産業省に設置されたZEBロードマップ検討委員会より発表されました。
方針として、2014年に閣議決定されたエネルギー基本計画である、「2020年までに新築公共建築物等でZEBの実現」、「2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現」の達成を目標としています。
ZEBロードマップでは、上記の目標達成のために下記の取り組みが示されています。
- ZEBの定義・評価方法
- ZEBの実現可能性
- ZEBの普及方策
ZEBロードマップの内容を通じて、ZEBへの具体的な取り組みを把握することで、事業として何に投資すべきか予測することができます。
また、ZEBロードマップの内容は、目標達成率アップに向けて柔軟に取り組み・施設が更新されているため、気になったタイミングで確認してください。
ZEB・ZEH-M委員会とは
ZEB・ZEH-M委員会とは、ZEBロードマップフォローアップ委員会と集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会を統合した委員会です。
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた政府の方針や取組を確認し、両ロードマップ委員会の方向性を取りまとめ、今後進むべき方向性をとりまとめます。
ZEHロードマップについては、下記の記事で解説していますので、合わせて確認してください。
参考:ZEHロードマップとは?将来に向けた具体的な施策も解説!
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ZEBロードマップでは「2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現」を目標としています。
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ZEBロードマップによる成果
以前のZEBロードマップでは「2020年までに新築公共建築物等でZEBの実現」を目標としており、その目標はおおむね達成できたと結論づけられています。
2020年までの、公共建築物のZEB件数は次の通りです。
引用:「ZEBの更なる普及促進に向けた今後の検討の方向性等について」
公共建築物の総数として、34件のZEB化が実現されました。
具体的な物件の用途は下記の通りです。
規模 | |||
延べ床面積10,000㎡未満 | 延べ床面積10,000㎡以上 | ||
用途 |
庁舎 |
開成町庁舎(神奈川県) 雲南市庁舎(島根県) 須賀川土木事務所庁舎(福島県) など | 秋田市庁舎(秋田県) 敦賀市庁舎(福井県) 高島市庁舎(滋賀県)など |
学校 | 益田市桂平小学校(島根県) など | 瀬戸市立小中一貫校(愛知県) など | |
病院 | 魚津老健通所リハビリセンター (富山県) など | 新潟南病院(新潟県) など | |
集会場 |
三原村中央公民館(高知県) など | 白石市文化体育活動センター(宮城県) 氷見市新文化交流施設(富山県) など |
引用:「ZEBの更なる普及促進に向けた今後の検討の方向性等について」
規模や用途で分けた場合でも、バランスよくZEB化が実現しています。
このことからも、国をあげてのZEB化が求められていることがわかります。
現在は2030年の目標に向けて、さらなる問題の改善や新たな施策が掲げられています。以下で、詳しい取り組みを見ていきます。
ZEBロードマップによる今後の取り組みとは?
ZEBロードマップの目標である「2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現」は、2020年の目標と比べて、かなり挑戦的な内容と言えるでしょう。
さらなるZEB化の躍進に向けて、委員会が行った取り組みは以下の通りです。
①「ZEB Oriented」の追加
②未評価技術の拡充
③既存建築物の改修によるZEB化
④再生可能エネルギーの促進
以下で、それぞれ詳しくご紹介します。
ZEBロードマップの取り組み①:「ZEB Oriented」の追加
延べ面積10,000㎡以上の建築物のZEB化を促進させるため、第4の評価基準「ZEB Oriented」が追加されました。
「ZEB Oriented」ではこれまでの基準で最低限求められていた一次エネルギー消費量削減50%に比べると、
未評価技術の導入こそ必要条件ではありますが、必要な消費量の削減量が30%~40%となり取り組みやすくなりました。
「ZEB Oriented」の追加によって、これまで以上に事業者のZEB取得に関心が集まりました。今後ますますZEB化の勢いが高まると考えられます。
ZEBロードマップの取り組み②:未評価技術の拡充
「ZEB Oriented」の取得促進に伴い、未評価技術の拡充も行われました。
未評価技術とは、高い省エネルギー効果が見込まれつつも建物設計や条件によって効果が大きく変動するため、WEBプログラム上で評価することができない技術のことです。
従来の未評価技術には、次の9つが該当します。
- CO2濃度による外気制御
- 自然換気システム
- 空調ポンプ制御の高度化
- 空調ファン制御の高度化
- 冷却塔のファン・インバータ制御
- 照明のゾーニング制御
- フリークーリングシステム
- デシカント空調システム
- クール・ヒートトレンチシステム
これに新たに、次の6つが追加されました。
- ハイブリッド給湯システム等
- 地中熱利用の高度化
- コージェネレーション設備の高度化
- 自然採光システム
- 超高効率変圧器
- 熱回収ヒートポンプ
評価に反映できる未評価技術の増加により、取り入れやすい未評価技術の選択肢が増えることになりますので、企業はますますZEB化の導入が容易になるでしょう。
今後も新たな未評価技術が拡充されることが予想されます。
ZEBロードマップの取り組み③:既存建築物の改修によるZEB化
2030年よりさらに先の未来を見据えて、既存建築物の改修によるZEB化にも着目が集まっています。
改修ZEB化に際して、挙げられた現状の問題は次の3つです。
- オーナーやテナントが改修ZEBを認知していない
- 工事が数年かかる場合もあり、改修の動機付けが弱い
- 設計図と建物の不一致により、正確な算出が難しい場合がある
これらに対して、政府では次の対応が検討されています。
①改修ZEB事例集を作成し、便益を共有する
②ZEB実現を宣言した事業者の公表
③省エネルギー量を緩和し、改修の実現可能性を高める
1つ目の事例集作成はすでに取り組まれており、2つ目と3つ目の取り組みについては、十分な検討を行った後に実施要否について判断されます。
ZEBにはまだまだ対処するべき問題が残っていますが、今後も改修ZEB化に向けた議論が活発に行われると予想されます。
ZEBロードマップの取り組み④:再生可能エネルギーの促進
ZEBのさらなる躍進のため、再生可能エネルギー(創エネルギー)を導入したZEB事例を増やす必要があります。
そのため、あらゆる建築物にも対応できる再生可能エネルギー技術の実現が重要です。再生可能エネルギー技術には電力はもちろんのこと、熱エネルギーの利用なども含まれます。
今後は、再生可能エネルギー技術の最新動向(壁面設置型ソーラーパネル等)にもますます注目が集まるでしょう。
再生可能エネルギー技術が発展することで、全体の総消費エネルギーが完全に削減された建築物がより増えると予想されます。
ZEB・ZEH-M委員会におけるZEB・ZEH-Mの普及促進に向けた今後の検討の方向性
2023年3月31日に、「ZEB・ZEH-Mの普及促進に向けた今後の検討の方向性について」が公表されました。
ZEB・ZEH-M委員会では、現状の取組のみでは2030年度までの目標達成が難しいと判断しています。
これまでの取組を踏まえた上で、AIやIoTの活用など新技術の導入・活用を行い、省エネや再生可能エネルギーの有効利用を促進しようと考え、下記の取組を進めると公表しています。
- 海外における実績評価・オフサイト型再エネ設備等のZEB政策に関する調査
- 未評価技術のWEBPROへの反映に向けた取組
- 設備容量の適正化に向けた取組
- 公共施設のZEB・ZEH-M化に向けた取組
- ZEB化の費用対効果の整理・分析及び情報発信等の取組
- ZEBプランナー・ZEHデベロッパー制度等のフォローアップ
- 改修によるZEB・ZEH-M化の促進
- ガイドラインの見直し
- ZEB・ZEH-Mの更なる普及拡大に向けたフォローアップ など
ZEBロードマップで未来を予測し、今から対策を立てよう!
ZEBロードマップでは「2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現」に向けて、さらなるZEBへの取り組みを強化しています。
ZEBが当たり前になる未来を見据えて今のうちから準備することが重要です。
ぜひ物件のZEB化を検討して、先進的な企業を目指してください。
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