2025年4月には建築物の省エネルギー基準への適合が義務化されることから、省エネ計算の重要性が高まっています。
しかし、省エネ計算には専門的な知識が必要なだけでなく、手間がかかるため、多くの設計事務所や建築関連会社では代行会社に依頼することが一般的です。
そこで、この記事では省エネ計算代行を依頼する際の選び方のポイントを解説します。
適切な代行会社選びは、円滑な省エネ適合性判定につながるだけでなく、コストや手間を最小限に抑えられるでしょう。
省エネ計算代行を検討している方は、ぜひこの記事を参考にして、最適な代行会社を選んでください。
省エネ計算代行とは?その役割と依頼するメリット
省エネ計算代行とは、建築物の省エネルギー性能を計るための計算業務を代行するサービスです。
専門的な知識と経験を持つ省エネ計算代行会社が、建築物の設計図書や仕様書などをもとに、省エネ計算を行います。
省エネ計算代行の役割
省エネ計算代行会社の主な役割は、建築物の設計図書や仕様書、その他関連資料に基づいて、建築物のエネルギー消費量を計算することです。
具体的には、建築物の断熱性能や設備効率、再生可能エネルギーの利用状況などを考慮して、一次エネルギー消費量などを算出します。
また、省エネ計算代行会社は、計算結果をもとに、建築物の省エネルギー性能を証明する図書を作成し、審査機関への申請や行政への届出をサポートすることもあります。
省エネ計算代行を依頼する理由
省エネ計算は、建築物のエネルギー消費性能を評価するための重要な業務ですが、高度な専門知識と経験が必要とされます。
多くの設計事務所や建築関連会社では、社内に省エネ計算の専門家を配置することが難しいため、代行会社に依頼することが多いでしょう。
また、省エネ基準は頻繁に改正されるため、最新の知識と情報を持つ代行会社に依頼することで、的確な計算と適合性判定が可能になります。
省エネ計算代行を依頼するメリット
省エネ計算代行を依頼するメリットは、何よりも専門家の知見を活用できることです。
代行会社は、豊富な経験と最新の知識を持っているため、的確な計算と適切な申請が可能になります。
また、代行会社に依頼することで、社内の業務負担を大幅に軽減できるでしょう。
省エネ計算は時間と手間がかかる業務ですが、代行会社に任せることで、本来の設計などの業務に集中できます。
さらに、代行会社は審査機関への申請や行政への届出もサポートしてくれるため、手続きの手間も省けるのです。
省エネ計算代行の選び方の5つのポイント
では、省エネ計算代行会社を選ぶ際には、どのような点に注目すべきでしょうか。
ここでは、選び方の5つのポイントを解説します。
ポイント①専門性と実績
省エネ計算には、建築物の用途や規模、地域特性などに応じたさまざまなパターンがあります。
そのため、代行会社の専門性と実績を確認することが重要です。
会社の業務実績を確認し、同種・同規模の建築物の省エネ計算の実績があるかを見極めましょう。
公式ホームページなどを確認すると、過去の実績やどのようなパターンで対応できるかの記載があるはずです。
省エネ計算を依頼したい建築物と同様の実績があれば、ぜひ依頼を検討してみましょう。
ポイント②スケジュールと対応力
省エネ適合性判定には、届出の期限など、重要なタイミングがあります。
そのため、代行会社のスケジュール管理と柔軟な対応力を確認することが重要です。
依頼前に、業務スケジュールや納期の設定方法を確認しておきましょう。
また、急な変更や追加の依頼にも柔軟に対応してくれる体制があるかも重要なポイントです。
担当者が一人では急な変更やさまざまな対応に、すぐ動けるか分かりません。
しかし代行会社にチームで担当してもらえれば、幅広い業務でも柔軟に対応できるのでおすすめです。
ポイント③審査機関への申請や行政への届出も代行してくれるか
省エネ計算の結果は、審査機関への申請や行政への届け出が必要です。
しかし、審査機関への申請や届け出の手続きは意外と複雑で手間がかかるものです。
そのため、省エネ計算だけでなく、審査機関への申請や行政への届出も代行してくれる会社を選ぶことがおすすめです。
代行を依頼することで、手続きの手間を省き、円滑に省エネ適合性判定を進められるでしょう。
参考:一般社団法人住宅性能評価・表示協会 登録省エネ判定機関の窓口
ポイント④料金体系の透明性
省エネ計算代行の料金体系は、会社によってさまざまです。
中には、計算の途中で追加料金を請求されるケースもあるでしょう。
そのため、料金体系が明確で透明性の高い会社を選ぶことが重要です。
見積もりの段階で、料金の内訳や追加料金の有無を確認し、納得できる料金体系かどうかを見極めましょう。
ポイント⑤対応業務の幅広さ
省エネ計算代行を依頼する際は、計算業務だけでなく、その他の関連業務にも対応してくれる会社を選ぶことがおすすめです。
・省エネ適合性判定
・住宅性能評価
・BELS業務
・CASBEE業務
上記のような関連する幅広い業務に対応してくれる会社であれば、円滑に業務を進められるでしょう。
省エネ計算代行の料金相場と内訳
省エネ計算代行を依頼する際には、料金も重要な検討事項です。ここでは、一般的な料金相場と内訳について解説します。
平均的な料金相場
省エネ計算代行の料金は、建築物の用途や規模、計算の難易度などによって異なります。
一般的な料金相場は、5万円程度~とされています。
ただし、この料金相場はあくまでも下限の目安であり、実際の料金は会社によって大きく異なるでしょう。
依頼前に、複数の会社から見積もりを取り、料金を比較検討することが重要です。
ですが、費用が極端に安い会社は軽微変更などに対応していなかったり、審査機関との質疑応答などのやり取りを代行してくれない可能性が高いです。
場合によっては費用や依頼者の負担が余計に増えることもありますので、十分に気をつけましょう。
料金内訳と各項目の説明
省エネ計算代行の料金は、主に以下の項目から構成されています。
・計算費用
計算業務の基本的な料金で、建築物の用途や規模に応じて設定されることが多いでしょう。
・申請代行料
審査機関への申請や行政への届出を代行する場合の料金です。
申請書類の作成や手続きの代行に対する料金が含まれます。
これらの料金項目は会社によって異なるため、見積もりの段階で内訳を確認し、不明点があれば説明を求めることが重要です。
省エネ計算代行を依頼する際の準備と手順
省エネ計算代行を依頼する際には、一定の準備が必要です。
ここでは、依頼に必要な情報や資料、依頼から完了までの流れについて解説します。
必要な情報と資料
省エネ計算代行を依頼する際には、以下の情報と資料を用意する必要があります。
資料の種類 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
建築物の概要 | 建築物の用途、規模、 構造などの基本情報 |
例:用途(住宅、事務所など)、規模(延床面積)、 構造(木造、鉄筋コンクリート造など) |
設計図書 | 配置図、平面図、 立面図、断面図など |
建物の形状、部屋の配置、開口部の位置などがわかる図面 |
設備機器の仕様 | 空調設備、照明設備、 給湯設備などの仕様 |
機器の種類、型番、性能などがわかる資料(カタログなど) |
材料の仕様 | 断熱材、開口部材などの仕様 | 材料の種類、厚さ、熱貫流率などがわかる資料(カタログなど) |
これらの情報と資料は、省エネ計算に直接影響するため、できる限り詳細かつ正確に用意することが重要です。
不明な点があれば、代行会社に相談して、必要な情報を確認しましょう。
省エネ計算代行の依頼から完了までの流れ
省エネ計算代行を依頼してから完了するまでの流れは、以下のようになります。
- 問い合わせ後、代行会社より必要書類送付の連絡
省エネ計算を依頼する場合、まずは問い合わせをします。その後見積もり用書類の送付準備を行います。
- 見積もり用の必要書類を送付
見積もり図面等、必要な書類を揃えて代行会社に送ります。
3.代行会社より見積もり送付及び省エネ計算用必要書類の依頼
送付した書類をもとに見積もりが作成されます。
- 見積もり確認後、省エネ計算を依頼
見積もりに問題がなければ、省エネ計算のために必要な資料を送付します。
代行会社が省エネ計算を行い、所管行政庁または登録省エネ適判機関に必要な書類を提出することで、省エネ基準への適合性判定の審査を受けます。
その後、適合判定通知書を受け取り、それを建築主事又は指定確認検査機関に提出する流れとなります。
この際、指定確認検査機関は、確認審査時において次の3点を審査します。
①省エネ基準適合義務対象なのか
②適合判定通知書が提出されているか
③確認申請書と計画書が整合しているか
以上の審査を経て、確認済証を受領することで着工が可能となります。
- 竣工後、完了検査申請を行う。
建築主は完了検査申請の際、適合性判定に要した図書(省エネに係る軽微変更が行われている場合)等変更後の計画が省エネ基準に適合することを示す書類を建築主事・確認検査機関に提出することが必要となります。
適合性判定を受けた計画等のとおり工事が実施されたものであることを、以下で検査します。
・工事監理報告書等の書類確認
・目視により検査
- 完了
検査済証を受領し、完了となります。
この流れは会社によって異なることがあるため、依頼前に確認しておくことが重要です。
また、計算の途中で追加の情報や資料が必要になることもあるため、柔軟に対応できる体制を整えておきましょう。
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省エネ計算は、建築物のエネルギー消費性能を左右する重要な業務です。
適切な代行会社に依頼することで、円滑に省エネ適合性判定を進められるでしょう。
ただし、会社選びは慎重に行う必要があります。
専門性や実績、料金体系などを総合的に判断し、信頼できる会社を選ぶことが重要です。
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