省エネ計算のソフトは数が多く、どのソフトを使えば良いのか迷いますよね。
省エネ計算のソフトは無料・有料のものを合わせて多くありますが、基本的には無料の計算ソフトで十分です。
この記事では、省エネ計算ソフトにはどのようなものがあるのか、どれが使いやすく、どのソフトを用いれば良いのかを説明します。ぜひ参考にしてください。
結論!省エネ計算の無料ソフトは「WEBプログラム」がスタンダード!
省エネ計算をするにあたって、ソフトにお金がかかってしまうとお考えの方がいるかもしれません。
結論からお伝えすると、省エネ計算のソフトは、国土交通省が開発協力を行っている「WEBプログラム」がおすすめです。
「WEBプログラム」は無料で簡単に利用することができます。
「WEBプログラム」は専用ソフトをパソコンにインストールしたり、細かな設定をする必要はありません。Webページを開けば誰でも利用できます。
次からは、WEBプログラムの下記の3つのメリットを紹介します。
- 制度の更新にリアルタイムで対応
- 国土交通省が制作
- 無料
①制度の更新にリアルタイムで対応している
WEBプログラムを利用する1つ目のメリットは、制度の更新にリアルタイムで対応しているという点です。
建築物の省エネに関する制度は、更新・改訂が多く定期的にチェックする必要があります。「住宅と住宅以外の建築物の省エネに関する制度」は2021年で51回も更新されているのです。
WEBプログラムでは、制度の更新がある度に対応しています。つまり、WEBプログラムを利用すれば、常に最新の省エネ基準に対応した計算ができるのです。
②法律の関係行政が制作している
WEBプログラムを利用する2つ目のメリットは、建築物省エネ法の管轄である「国土交通省」が開発に協力しているという点です。
WEBプログラムは制度を定めている国土交通省の国土技術政策総合研究所や、建築や土木に関する技術の研究を行う国立研究開発法人建築研究所が作成に携わっています。
関係省庁が携わっているので、建築物の省エネに関する制度や法律に精通した作りになっています。
③無料である
WEBプログラムを利用する3つ目のメリットは、無料であるという点です。
建築専門の設計ソフトや計算ソフトは購入や一定期間ごとの利用料がかかることもあり、費用面で導入を躊躇う方もいらっしゃいます。
WEBプログラムは無料で利用できるので、誰でも気軽に導入できるのです。
またWEBプログラムは、全ての機能を無料で利用することができます。「無料だから機能が制限される」ということはないので、安心してご利用ください。
省エネ計算とは
省エネ計算ソフトを利用する際には、省エネ計算の理解が必要です。
省エネ計算のソフトの使い方の説明の前に、省エネ計算について簡単に説明します。
省エネ計算とは、建築物省エネ法により義務付けられた計算のことを指します。
300㎡以上の非住宅建築物が対象となり、申請もしくは届出が義務付けられています。
省エネ計算の概要
省エネ計算は、「一次エネルギー消費基準」と「外皮基準」によって構成されています。
非住宅・住宅ともに一次エネルギー消費量基準(BEI)が1.0以下である必要があります。
住宅の場合は、一次エネルギー消費量基準(BEI)に追加して、外皮性能基準のUA値およびηAC値を地域によって定められている基準値以下にする必要があります。
なお、下記の記事で省エネ計算について詳しく解説しています。この記事と合わせて確認してください。
参考:省エネ法の計算方法とは?一次エネルギー消費量や外皮性能についてプロが解説!
注意!無料ソフトの弱点は入力前の「数値の把握」と「根拠資料の準備」
省エネ計算を無料の計算ソフトで行うには、省エネ計算の内容を理解し、実際に数値の把握や根拠資料の準備を行う必要があります。
省エネ計算は専門性が高い内容なので、「そもそもソフトに数値を打ち込むことができない」という方も多くいらっしゃいます。
省エネ計算の内容の理解や、数値の出し方、根拠資料の準備に不安がある方は、「環境・省エネルギー計算センター」にご相談ください。
上場企業・大手設計事務所など1,000社以上・累計2,600棟以上の業務実績があり、お客様のリピート率は90%以上を誇ります。
省エネ計算の無料ソフト「WEBプログラム」とは?
WEBプログラムは用途によって計算内容が異なるため、用途ごとに計算ソフトが分かれています。
住宅の省エネ計算の無料ソフトは「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」をご利用ください。
非住宅の標準入力法は「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム」を、モデル建物法は「モデル建物法入力支援ツール」をご利用ください。
目的や評価方法によって計算ソフトが異なるので、利用目的に合った省エネ計算ソフトを利用しましょう。
非住宅の省エネ計算について詳しく知りたい方は「非住宅の省エネ計算とは?3つの評価方法の違いや一次エネルギー消費基準の考え方について、専門家が徹底解説」の記事を参考にしてください。
また、住宅の省エネ計算について詳しく知りたい方は「住宅の省エネ計算とは?特徴や3つの評価方法、考え方について専門家が徹底解説!」の記事を参考にしてください。
それぞれの省エネ計算に対して理解が深まります。
非住宅の「標準入力法」は「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム」で計算!
省エネ計算を標準入力法で行う場合は「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」を利用します。
建築物のエネルギー消費性能計算プログラムは、こちらのWEBページからダウンロードできる「外皮・設備仕様入力シート」にあらかじめ必要な数値を入力し、「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」のページにアップロードすることで計算できます。
非住宅の「モデル建物法」は「モデル建物法入力支援ツール」で計算!
省エネ計算をモデル建物法で行う場合は「モデル建物法入力支援ツール」を利用します。
モデル建物法は、事前に計算に必要な数値の根拠となる資料を用意し、必要な数値を入力したり項目を選択したりする必要があります。
標準入力法ほど細かい入力が必要ないため、比較的手軽に利用することができます。
住宅は「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」で計算!
住宅の省エネ計算の無料ソフトは「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」をご利用ください。
住宅用の計算プログラムは総合的な住宅の消費エネルギー性能を計算できるだけではなく、窓や外壁など建物外皮の性能を計算することも可能です。
地域ごとの気候特性に対応した計算プログラムもあるため、住宅を建てる地域に合わせた計算ができます。
また、戸建住宅だけではなく集合住宅用の計算ソフトも揃っているので、マンションやアパートの消費エネルギー消費性能の計算も可能です。
自社で開発したい場合はAPIを利用しよう
今回紹介した「WEBプログラム」はAPI(Application Programming Interface)が公開されているので、自社で開発したソフトに組み込むことが可能です。
自身でソフトを開発したい、あるいは既に開発済みの自社ソフトに省エネ計算機能を組み込みたい、という方はAPIを利用してください。
行政が管轄しているソフト以外の無料ソフト・有料ソフトは使ってはいけない?
省エネ計算のソフトには、行政が管轄している「WEBプログラム」以外にもあります。
行政が管轄しているソフト以外は、計算がよりしやすくなったり、省エネ計算以外の計算もまとめてできたりと、メリットがいくつもあります。
反面、導入に費用がかかったり、専用のソフトウェアのインストールが必要だったりと手間がかかることもあるので事前に詳しく検討しましょう。
ソフトウェアの導入について詳しく知りたい方や、そもそも省エネ計算を外部に委託したい方は、「環境・省エネルギー計算センター」へお問い合わせください。
省エネ計算の専門家がご相談を受け付けております。
行政以外の民間のソフト紹介【一覧・比較】
最後に、行政が直接携わっていない民間会社が提供している省エネ計算ソフトをいくつか紹介します。
国内の有名住宅資材メーカーが提供するソフトから、CADソフトなど住宅の設計に関するソフトウェアを開発する会社が開発した計算ソフトまで種類は様々です。
それぞれのソフトに特徴があるので貴社に合ったソフトを選んでください。
株式会社建築ピボッド|HOUSE-省エネ
1つ目は、株式会社建築ピボッドが提供している「HOUSE-省エネ」を紹介します。
税込8万8,000円の有料ソフトです。
株式会社建築ピボッドは、CAD関連製品や日影/避難製品を設計するソフトなど土木・建築系のソフトウェア開発を行っています。
HOUSE-省エネは、戸建住宅の省エネ計算から申請書類の作成まで行うことができるソフトです。
住宅の外皮性能や一次エネルギー消費量、冷暖房費の算出など多彩な計算が可能で、計算結果を様々な資料の形式で出力する機能を内蔵しています。
また、CADデータや耐震計算・診断ソフトのHOUSE-DOCなど外部データのインポート機能にも優れています。
上記のような多彩な機能で戸建住宅の省エネ設計や届出業務をトータルに支援し、業務の効率化に貢献してくれるでしょう。
株式会社イズミシステム設計|M-draw / A-repo4
2つ目は、株式会社イズミシステム設計が提供している「M-draw」と「A-repo4」です。
M-drawもA-repo4も1年間の利用料契約という料金体系になっています。
M-drawは税込16万5,000円、A-repo4は住宅用と住宅以外の建築用でソフトが異なり、それぞれ税込13万2,000円となっています。住宅用と建築用が1つになったソフトは税込22万円です。
M-drawは省エネ計算に必要な情報を一元管理し、簡単に必要書類を作成することが可能です。また、入力したデータを読み込んだ設計図面に落とし込むことで簡単に外皮性能を表示したCADデータの作成も可能です。
A-repo4は戸建住宅だけではなく非住宅の省エネ計算が可能です。入力する際にワンタッチで表示したい画面をディスプレイに表示できるなど操作性に優れ、どこを操作すればいいのかわからなくなる心配がありません。
H4:YKK AP|YKK AP住宅省エネ性能計算ソフト
3つ目のソフトは、国内大手の住宅資材メーカーYKK AP株式会社が提供する「YKK AP住宅省エネ性能計算ソフト」です。
YKK AP住宅省エネ性能計算ソフトは、会員登録を行えばブラウザ上で誰でも無料で利用可能となっています。
YKK APはサッシやガラスなど窓製品を中心に住宅資材を自社開発しており、住宅性能の向上による省エネを推進するために日々研究開発を行っています。
YKK AP住宅省エネ性能計算ソフトは選択式の入力操作が中心で、誰にでも簡単に扱えるのが特徴です。
入力内容を反映させた外皮性能計算書や一次エネルギー消費量計算書といった計算書や計算書と連動した分かりやすい説明資料も自動作成されるため、1回の入力で様々な資料の作成が可能となっています。
また、ZEHやHEAT20といった省エネ住宅にも対応しているため高度な省エネ住宅の提案にも活用可能です。
株式会社LIXIL|LIXIL省エネ住宅シミュレーション
4つ目に紹介する省エネ計算ソフトは、株式会社LIXILの【LIXIL省エネ住宅シミュレーション】です。
LIXIL省エネ住宅シミュレーションは、会員登録をすればブラウザ上で誰でも無料で利用ができます。
株式会社LIXILは世界中に販売ネットワークを持つ総合住宅資材メーカーで窓や玄関ドア、インテリアやエクステリアなど住宅の内外に使われる資材を製造・販売しています。
LIXIL省エネ住宅シミュレーションは、とにかく操作が簡単で、予備知識や専門知識がない方でも操作することができるため大幅な業務効率の改善が可能です。
近年のお施主様への省エネ性能説明義務に準じた分かりやすい説明・提案資料を自動作成してくれます。
操作方法で分からない箇所があっても無料のヘルプデスクにお気軽に相談できますので初めての方も安心して利用可能です。
煩雑で時間のかかる省エネ計算は、早くて柔軟な「環境・省エネルギー計算センター」に相談しよう!
この記事では、省エネ計算ソフトについて説明しました。
無料のソフトから有料のソフトまで様々なので、自社にあったソフトを見つけて運用することが大切です。
なお、省エネ計算はソフトが無料で使えても、省エネ計算は専門性が高い領域なので、そもそもの数値把握や根拠資料の準備に人的コストや時間的コストが大きくかかります。
まだ省エネ計算を行ったことがない場合や、省エネ計算で毎回時間や工数がかかってしまう場合は、一度「環境・省エネルギー計算センター」へご相談ください。
累計実績は2,600件以上、年間700棟以上の申請をサポートしている専門家が、スムーズかつ適切な対応を行ってまいります。