建築物の省エネ対応には何かとお金がかかります。
省エネ対応は、社会的な意味合いだけでなく、会社や建築物として実利があるため導入したい方も多いでしょう。
建築物の省エネ対応に補助金や助成金があることを知れば、省エネ対応をより積極的に進めることができます。
この記事では、省エネ法やCASBEE認証制度における国や自治体の補助金・助成金制度を解説します。ぜひ参考にしてください。
以下情報は2022年の8月時点の情報であるため、最新の情報が知りたい方は各団体に問い合わせてみてください。
省エネ対応でもらえる補助金・助成金
近年、国として建築物の省エネを推進しようとする動きが大きくなってきています。
背景にSDGsや環境問題・資源問題が大きくあり、各国が決めた目標に向けて政策を打ち出しています。その政策のひとつとして、省エネ法や環境問題に対応することで得られる助成金・補助金がいくつか実施されています。
ここでは下記の補助金・助成金を詳しく説明します。
- こどもみらい住宅支援事業(新築)
- こどもみらい住宅支援事業(リフォーム)
- サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)
- 各都道府県の自治体による補助金・助成金
補助金や助成金に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
【新築】こどもみらい住宅支援事業(60万円〜100万円)
まず「こどもみらい住宅支援事業」を詳しく紹介します。
こどもみらい住宅支援事業とは、⼦育て世帯や若者夫婦世帯による⾼い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修等に対して補助することにより、⼦育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得に伴う負担軽減を図るとともに、省エネ性能を有する住宅ストックの形成を図る事業です。(参考:こどもみらい住宅支援事業「事業概要」)
こどもみらい住宅支援事業は「新築」と「リフォーム」があり、それぞれ上限額が異なります。
まずは「新築」から説明します。
対象となる住宅タイプ
床面積が50平米以上ある注文住宅、または分譲住宅の新築が対象建築物
対象となる世帯
令和3年4月1日時点で18歳未満の子を有する世帯、または夫婦どちらかが39歳以下の若者夫婦世帯であること
住宅の省エネ性能基準と補助金の上限額
次の基準に応じて、支給される補助金額の上限が定められています。
- ZEH基準を満たした住宅:100万円
- 長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅いずれかの認定を得た住宅:80万円
- 断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4以上の住宅:60万円
申請先
「こどもみらい住宅支援事業事務局」が申請先です。
住宅所有者の方が直接申請を行うことはできないので注意してください。
申請を行えるのは、注文住宅なら工事請負業者、分譲であれば販売事業者で、予め事業者登録を行っている事業者のみです。
事業者登録前の契約は補助金対象外になるので、補助金を検討している方は事業者が登録を行っているかを事前に確認しておきましょう。
申請・受取方法
補助金の申請・受取は下記の手順で行われます。
①共同事業実施規約の締結
②必要な書類の提供
③交付手続き
④受取
補助金申請手続きの代行を依頼する場合、申請する事業者と不動産所有者間で「共同事業実施規約」という書類を締結します。
この書類が、補助金申請代行を事業者に託した証となるのです。
次に、工事契約書類や住民票など必要な書類をコピーし、申請事業者へ提供します。
申請事業者が「こどもみらい住宅支援事業事務局」のサイト上で、住宅所有者に代わり、交付手続きを行います。
なお、補助金は住宅所有者へ直接振り込まれる訳ではありません。
申請事業者に送金され、契約代金などに充当した後、住宅所有者へと還元される流れとなります。
なお、交付申請期間は令和4年3月28日 ~ 遅くとも令和5年3月31日です。
【リフォーム】こどもみらい住宅支援事業(上限30万円〜60万円)
こどもみらい住宅支援事業は「リフォーム」も対象です。
ただし、新築の場合と支給要件が異なるので注意しましょう。
対象となる世帯
リフォームの場合は、世帯構成や年齢に条件はありません。
世帯条件により補助金上限額が異なります。
対象となるリフォーム工事
対象となるリフォーム工事には必須の工事と、自由追加できる工事の2種類があります。
【必須のリフォーム工事】
次のリフォーム工事の内、どれか一つ以上を行うことが必須要件です。
①開口部の断熱改修
②外壁、屋根、天井または床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置(節水型トイレや太陽熱利用システムなど)
【自由追加できるリフォーム工事】
必須のリフォーム工事を行った上であれば、耐震改修やバリアフリー改修等も補助金対象工事として追加できます。
支給額の上限
支給額の上限は2つのタイプで金額が変わります。
- 18歳未満の子育て世帯、または39歳以下の若者夫婦世帯
- 子育て世帯にも若者夫婦世帯にも該当しない世帯
18歳未満の子育て世帯、または39歳以下の若者夫婦世帯の場合、次のような条件で上限額が異なります。
①中古住宅購入時にリフォーム工事を行う場合:最大60万円
②リフォーム工事のみの場合:最大45万円
子育て世帯にも若者夫婦世帯にも該当しない世帯の上限額は次の通りです。
①安心R住宅(瑕疵保険会社の調査を受け保険対象となる等の条件を満たした優良中古住宅)購入時にリフォーム工事を行う場合:最大45万円
②上記1以外のリフォームの場合:最大30万円
申請・受取方法
申請・受取方法は新築の場合とほぼ同じです。
①共同事業実施規約の締結
②必要な書類の提供
③交付手続き
④受取
工事契約書や住宅所有者の住民票など必要な書類をコピーして準備し、申請代行してもらう工事業者へ提供します。
申請者となった事業者が「こどもみらい住宅支援事業事務局」が、住宅所有者に代わって交付手続きを行います。
補助金は事業者へ支払われ、工事代金に充当され、差額などが還元されます。
なお、交付申請期間は令和4年3月28日 ~ 遅くとも令和5年3月31日です。
サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)
国が実施している補助金制度としてもう1つ、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」があります。
サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)とは、省CO2において先導性があると評価された建築物の新築や改修のプロジェクトに対し、補助金を交付する事業のことです。
補助額はプロジェクトの規模や申請対象戸数などで異なります。戸建住宅であれば一戸あたり200万円、非住宅のプロジェクトは5億円が限度額となっています。
対象プロジェクトの建物
省CO2を先導する取組があれば、戸建住宅や共同住宅、それ以外の小中規模建築物(延べ面積2,000平米未満)のプロジェクトが幅広く対象
補助金対象者
省CO2の技術を採用する建築主
申請方法
応募する部門ごとに、提案申請書など、必要な書類が指定されていますので、一覧表に従って書類を作成します。
下記のページに必要な書類がまとめられています。
応募書類提出先
書類が全て整ったら、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」へ、提案部門を明記した上で郵送します。
なお、交付申請期間は令和4年4月22日 ~ 令和4年6月10日
各都道府県の自治体による補助金・助成金
省エネに関わる補助金や助成金制度には、各都道府県の自治体独自のものもあります。
ここでは、3つの事例を紹介し、補助金・助成金の探し方についてお伝えします。
神奈川県|蓄電システム導入費補助金
神奈川県は省エネ対策並びに災害対策として、蓄電システム導入に対し補助金が支給されます。
対象は一般住宅や事業所で、災害時の緊急電源設備、または太陽光発電システムと蓄電システムを導入した場合、導入経費の一部を補助しています。
補助金上限額は住宅用で15万円です。
福岡県|既存住宅流通・多世代居住リノベーション推進事業
福岡県には既存住宅の省エネ改修を対象とした補助金交付事業があります。
補助金対象世帯は配偶者合計年齢が80歳以下の世帯、または18歳未満の子育て世帯です。
対象世帯が断熱改修、太陽熱システムの設置など省エネ改修を行った場合、最大で40万円支給されます。
宮城県|スマートエネルギー住宅普及促進事業補助金
宮城県では家庭のCO2削減を目標として、省エネ用設備を導入した際に補助する制度があります。
設備例としては家庭用燃料電池、太陽光発電、蓄電池などで、支給額は最大12万円です。
また、省エネルギー改修を行った場合には、箇所や範囲に応じ最大で10万円支給されます。
自治体による補助金・助成金の見つけ方
自治体が提供している補助金・助成金事業を見つける方法は簡単です。
gooネットの「助成金情報」というページを利用して検索しましょう。
該当ページに「住まいの給付金」という見出しがあります。
この見出しの中で、省エネに関わる項目が「(都道府県)新・省エネルギー設備機器等導入補助制度、(市区)新・省エネルギー設備機器等導入補助制度」です。
クリックすると、都道府県別に補助金を検索できるページが表示されます。
後はお探しの県名を選択するだけで、該当県の補助金ページが表示されますので、ぜひご活用ください。
CASBEEに国の補助金はないが、自治体によってはある場合も
2022年3月現在、CASBEEに国の補助金・助成金はありません。
しかしながら、自治体によっては補助金やインセンティブがあります。
神奈川県川崎市では新築戸建がCASBEE認証を行い、評価でAランク以上を獲得した場合、同市のスマートハウス補助金制度の補助金に加え、5万円が支給されます。
また、過去には、長野県や北九州市、名古屋市などでCASBEEの評価結果を基準とした補助金制度が行われていた事例があります。
CASBEEに限りませんが、省エネ対策や環境対策に力を入れている自治体は多いと言って良いでしょう。
特に自治体は財政事情の影響を受けやすく、過去に実施した補助金制度が次年度以降も存続するかは未知数です。
もし自分達の建築物が、CASBEE認証や省エネでの取組で補助金が受けられるかどうか気になるという方は、一度「環境・省エネルギー計算センター」へご相談下さい。
各自治体の補助金事業の運用状況を踏まえ、どのような補助金が利用できるのかをご提案致します。
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