不動産ファンドにて、一定の出資要件を満たすことで、一般社団法人環境不動産普及促進機構(RE-SEED機構)などから出資・融資が受けられます。本コラムにおいては、耐震・環境不動産形成促進事業を整理しましたので解説させて頂きます。
機構のミッション
- 老朽・低未利用不動産の改修、建替え又は開発を行い、耐震・環 境性能を有する良質な不動産を形成する事業を行う者に出資等を 行うことにより、地域再生・活性化に資するまちづくり及び地球温暖 化対策を推進する。
- 環境不動産に関する情報提供・調査研究により環境不動産の普 及・啓発
機構の取組み
- 「耐震・環境不動産」形成促進⇒不動産投資において、E(環境)、S(社会)、G(ガバナン ス/経済性)要素を考慮。事業者を通じてSDGs達成を支援。
- こうした要素を考慮することは、環境・社会面のみならず、経済的な価値向上にも寄与。 (考慮しないことは寧ろ「リスク」)⇒機構資金が民間資金の呼び水となって民間主導の SDGsのゴール達成を支援
環境面(Environment)の課題:環境不動産の普及が求められる背景
- 部門別の最終エネルギー消費 ・産業部門や運輸部門に比して、業務部門や家庭部門の消費量の伸びが大きく (1990年比約25%増)、消費量も全体の約1/3を占める。
- 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(令和元年6月11日閣議決定)・ESG要素を考慮する動きを不動産等に拡大
社会面(Social)の課題
- 現行耐震基準以前(昭和56年(1981年)以前)に竣工したオフィスビルストック
- 全都市計 : 3,236万㎡(3,070棟)と同ストックの25%(棟ベース29%)
- 地方都市 : 457万㎡(606棟)と同ストックの31%(同32%)
G(ガバナンス/経済性)についての考え方
CASBEE等の環境認証を取得したビルは、築年・立地・規模等の影響を排除しても、 他のビルと比較して賃料水準が相対的に高位との研究結果が複数ある。 ⇒「社会的責任(CSR)」の観点だけでなく、「経済性」の観点からもESG投資はプラスの 影響をもたらす可能性大。
耐震・環境不動産形成促進事業の概要
機構資金を活用した事業のメリット等
出資要件(耐震・環境要件)
以下の①又は②のいずれかの事業要件を満たすことが必要で、その概要は次のとおりです。
弊社が出資・事業要件を分析すると、取得のしやすさは以下の通りと考えます。
イ.省エネルギー改修
ニ.建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)
ロ.建築物環境総合性能評価システム
いずれの事業要件に関しても、ファンド期間中に数値基準を満たす、認証の取得ができれば問題ありません。
当初、出資・融資契約・資金実行時点では事業要件取得の見込みが確認できれば大丈夫です。
なお、それぞれの事業要件について解説させて頂きます。
イ.の場合:直近で照明のLED化や空調の更新がされている場合は難しい可能性が高いです。逆に、今後、設備更新を予定している物件などは要件を満たしやすいと考えられます。
ニ.の場合:現設備の状況で1次エネルギー計算をした結果、星3以上のランクになっている場合はこの要件を使うことができません。あくまでも、現状は星2以下で設備改修をしたことによって星3以上になったとの要件が必要です。取得するための外注費用はイ.と比較すると、こちらの方がかかってしまいますが、BELSを取得できると、そのビルなどの環境配慮不動産とのアピールに繋がりますので、副次的効果が期待できます。
ロ.の場合:こちらもニ.と同様に手間やコストを考えるとかかってしまいますが、取得することでアピールに繋がります。
取得のコスト・手間・難易度は上の順番の通りとなりますが、対象の物件により、どの事業要件にて取得が望ましいかは異なりますので、この事業をご検討される場合はお気軽にお問い合わせください。
詳しい資料は以下よりご確認をよろしくお願い致します。
http://www.kankyofudosan.jp/cms/pdf/20200428_tsuujou_new_version.pdf
耐震・環境不動産形成促進事業:一般社団法人環境不動産普及促進機構(RE-SEED機構)
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