BELS評価の取得は、共同住宅の付加価値向上に大きく貢献します。
高い評価を得ることで、物件の競争力が高まり、販売や賃貸がスムーズに進むでしょう。
この記事では、BELS評価のメリットや評価基準、手続きの流れなどを詳しく説明します。
ぜひ共同住宅のBELS評価取得に役立ててください。
そもそもBELSとは?
BELS(ベルス)とは、建築物省エネルギー性能表示制度(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)の略称で、建築物のエネルギー性能を第三者機関が評価し、ラベルで表示する制度です。
国土交通省が定めた基準に基づいて評価されるため、信頼性が高く、消費者にもわかりやすい指標となっています。
BELSの評価基準と評価手法
BELSでは、一次エネルギー消費量(BEI)を基準に評価が行われます。BEIは国が定める省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを見る指標で、星の数で示します。
また「建築物からの熱の逃げにくさ(UA値)」と「建築物への日射熱の入りやすさ(ηAC 値)」の2つの点から建築物の断熱性能を評価します。これらの数値をもとに地域区分に応じた等級で評価し、性能表示ラベルで表示されます。
BELSの対象建築物と表示方法
BELSの対象は、新築・既存を問わず、居住用・非居住用のあらゆる建築物です。共同住宅も、もちろん対象となります。
評価結果は、建築物のエネルギー性能を示すラベルとして表示されます。ラベルには、さまざまな項目が表示されているのがBELSの特徴です。
BEIを指標としてエネルギー消費性能の評価が星の数で表されます。また建築物の断熱性能の指標は家のマークです。
他にも
- 第三者評価であること
- 建築物名称
- 再エネ設備あり / なし
- ZEH(ゼッチ)水準
- ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)
- 評価日
が表示されます。
引用:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/shoene-label/
共同住宅におけるBELS評価の特徴と評価基準
共同住宅のBELS評価には、一般の建築物とは異なる特徴があります。
ここでは、共同住宅特有の評価基準について解説します。
共同住宅のBELS評価の対象となる設計項目
共同住宅のBELS評価では、住戸部分だけでなく、共用部分のエネルギー性能も評価対象となります。
- 外壁、屋根、床、開口部の断熱性能
- 空調設備、換気設備、給湯設備、照明設備の効率性
- 昇降機の効率性
- 再生可能エネルギーの利用状況
共同住宅のエネルギー性能の計算方法
共同住宅のエネルギー性能は、住戸部分と共用部分を合わせて計算します。主に以下の2つの指標に基づいて行われます。
- 一次エネルギー消費量
- 外皮性能
これらの指標をもとに、エネルギー性能の計算をする方法が標準入力法です。
建築物の詳細な仕様を入力することで、建築物の年間の一次エネルギー消費量を算出します。
これらの計算には国土交通省が公開している計算プログラムを使用することが多いです。
旧制度では共同住宅はBELSが取得しにくい物件だった
共同住宅は旧制度ではBELSを取得しにくい物件でした。
旧制度では、一次エネルギー消費量と外皮性能の両方で基準を満たす必要がありました。
しかし、共同住宅では、外皮性能が劣る建物が多く、それを改善するために窓や断熱材の性能を上げようとすると、建設費が増加してしまいます。
BELSの価値がまだ一般に浸透していない現在、増加した建設費分を入居者の賃料に転換しづらいという事情があります。
そのため、共同住宅は外皮性能を満たせず、この3月までの旧制度ではBELSを取得しにくかったのです。
4月以降は性能値をそのまま表示するシステムに変わったため、外皮性能を満たさなくてもBELSが取得できるようになりました。
共同住宅でもBELSが取得しやすくなったのです。
共同住宅のBELS評価を取得するメリット
では、共同住宅がBELS評価を取得することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、4つの主要なメリットを解説します。
環境配慮と脱炭素化社会への貢献
BELS評価の高い共同住宅は、優れた省エネ性能により、CO2排出量の大幅な削減に貢献します。地球温暖化対策が急務とされる中、環境配慮型の建築物としての社会的評価は非常に高いでしょう。
BELS評価を取得することで、建築物の環境性能の高さを客観的に示すことができ、環境意識の高い入居者や投資家からの支持を得られます。
光熱費削減によるコストメリット
省エネ性能に優れた共同住宅では、住戸部分の冷暖房や照明などに関わる光熱費を大幅に削減できます。これは入居者にとって大きな魅力となるでしょう。
光熱費の負担が軽減されることで、家計に余裕が生まれ、快適な生活を送れます。
さらに、光熱費の削減は、建築物のオーナーにとっても長期的な管理コストの削減につながるため、大きなメリットと言えます。
資産価値の向上と市場競争力の強化
BELS評価の高い共同住宅は、省エネ性能の高さから資産価値が高く評価される傾向にあります。
不動産市場では、省エネ性能が物件選びの重要な基準の一つとなっており、高評価を得た物件は売却や賃貸の際に有利になるでしょう。
また、BELS評価を積極的にアピールすることで、同じタイプの物件との差別化を図れるため、市場における競争力の強化にもつながります。
補助金や税制優遇措置の対象に
国や自治体では、省エネ性能の高い建築物に対する様々な補助金や税制優遇措置を設けています。BELS評価を取得した共同住宅は、これらの支援制度の対象となる可能性が高いでしょう。
例えば、「ZEH-M(ゼッチマンション)」の基準を満たしていれば、住宅ローン控除が得られます。また補助金なども受けられる場合があります。
これらの制度を活用することで、建設コストの一部を補填できるため、初期投資の負担を大幅に軽減できるのです。
共同住宅のBELS評価の手続きと流れ
それでは、共同住宅のBELS評価を実際に取得するための手続きと流れを詳しく見ていきましょう。
BELS評価の申請に必要な書類と図面
BELS評価の申請には、以下の書類と図面が必要です。
- BELSに係る評価申請書 正副
- BELSに係る評価物件 掲載承諾書
- 設計内容(現況)説明書
- 申請添付図書
- 一次エネルギー消費量および外皮計算書
- その他必要な書類
これらの書類は、申請前に書類の漏れや不備がないか、しっかりと確認しておくことが重要です。
第三者機関による審査と評価の流れ
BELS評価の申請から評価までの流れは、以下の通りです。
- 申請者が、必要書類を揃えて、登録されたBELS評価機関に申請します
- 評価機関は、申請書類を受理し、審査を開始します
- 評価機関は、提出された書類と図面をもとに、省エネルギー計算の妥当性や、基準への適合性を審査します
- 必要に応じて、評価機関から申請者に対して、追加の資料提出や説明が求められます
- 審査が完了すると、評価機関は評価結果を申請者に通知します
審査の期間は、申請書類の量や内容によって異なりますが、通常は1〜2ヶ月程度でしょう。
円滑に審査を進めるためには、申請前の入念な準備が欠かせません。
BELS評価書の交付とラベリング
審査に合格すると、評価機関からBELS評価書が交付されます。評価書には、建築物のエネルギー消費性能が星の数で表示され、他にも断熱性能や達成項目、再エネ設備の有無などが記載されています。
引用:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 第三者評価 (見本表示版)
評価書と合わせて、以下のようなBELSラベルも発行されます。このラベルを建築物の入口やパンフレットなどに掲示・掲載することで、建築物の省エネ性能を広くアピールできるでしょう。
建築物の省エネ性能ラベル 第三者評価 住宅(住棟) 再エネ設備有り
建築物の省エネ性能ラベル 第三者評価 非住宅建築物 再エネ設備有り
引用:国土交通省
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BELS評価の取得は、共同住宅の付加価値を高め、市場競争力を強化する上で非常に有効な手段です。ただし、申請や審査の手続きは複雑で、専門的な知識が必要とされます。
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