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子育てエコホーム支援事業の条件とは?事業者や設計者が知っておくべきことを解説

毎年のように制度が変わる、子育て世帯向けの住宅取得資金補助事業。

頭を痛める事業者の方も多いのではないでしょうか。

2024年度は「子育てエコホーム支援事業」が実施中です。

駆け込み申請が予想される今後に向けて、申請を担当する事業者が知っておきたい内容を簡潔にまとめました。

スピーディーに、そして確実に申請する一助に活用してください。

 

子育てエコホーム支援事業の制度概要

はじめに、子育てエコホーム支援事業の概要を確認しましょう。

子育てエコホーム支援事業の目的と予算、交付申請期間などを解説します。

子育てエコホーム支援事業の目的

子育てエコホーム支援事業は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた政府による住宅施策の1つで、2024年度から実施されています。

住宅を取得・改修したい子育て世帯・若者夫婦世帯に補助金を交付し、高性能な省エネ住宅の選択を後押しする目的です。

子育てエコホーム支援事業の予算

子育てエコホーム支援事業は、国による政策です。

補助金は、国庫を財源とします。令和5年度補正予算で2,100億円、令和6年度当初予算案で400億円が、それぞれ計上されました。

子育てエコホーム支援事業の交付申請期間

子育てエコホーム支援事業は、2024年4月2日から申請が始まっています。

事業の期間は2024年12月31日までですが、申請が予算上限に達した時点で締め切られる点に注意してください。

2024年8月末時点で、およそ半分の予算が消化済みです。

子育てエコホーム支援事業【公式】|国土交通省(以下同)

 

「こどもエコ住まい支援事業」との違い

こどもエコ住まい支援事業は、2023年の施策です。

こどもエコ住まい支援事業と子育てエコホーム支援事業とは、対象住宅の種類や補助金額が異なります。

 

子育てエコホーム支援事業の適用条件<新築注文住宅・新築分譲住宅>

子育てエコホーム支援事業が適用される、新築注文住宅・新築分譲住宅の条件を、簡潔に解説します。

子育てエコホーム支援事業の公式ページでは「新築注文住宅」「新築分譲住宅」と項目が分かれていますが、主要条件は共通しています。

共通条件から把握していくと、全体像を効率良く把握できます。

子育てエコホーム支援事業の対象者

まずは対象者、つまり建築主と事業者それぞれの条件を見てみましょう。

建築主の条件

子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とします。

具体的な年齢条件は、以下の通りです。

年齢要件を押さえておき、建築主が子育てエコホーム支援事業の対象か、打ち合わせ時に確認します。

事業者の条件

子育てエコホーム支援事業を申請できる建築・施工・販売会社は、エコホーム支援事業者のみです。

エコホーム支援事業者とは、補助金の交付申請手続きや補助金の受け取りを代行する事業者として、子育てエコホーム支援事業に登録した住宅事業者を指します。

自社が該当するか、確認しておきましょう。

補助金利用を相談できる事業者の検索

 

子育てエコホーム支援事業の対象住宅

子育てエコホーム支援事業の対象住宅には、6つの条件があります。

住宅性能

対象住宅は、長期優良住宅もしくはZEH水準住宅でなければなりません。

規定の書類を提出し、住宅性能が条件を満たすことを証明します。

 

住宅種類

解説

提出書類

長期優良住宅

長い年月を良好な状態で使用できる住宅として、所管行政庁の認定を受けている

長期優良住宅建築等計画認定通知書

ZEH水準住宅

強化外皮基準に適合し、かつ基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減性能をもつ

※ Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Orientedのほか、2023年10月1日以降申請の認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅も対象

設計住宅性能評価書/建設住宅性能評価書

BELS評価書

低炭素建築物新築等計画認定通知書

性能向上計画認定通知書 など

居住者

補助金の対象となる住宅には、建築主・購入者自らの居住が必要です。

住民票などで居住の有無を確認されます。

住戸の床面積

補助金対象となる住宅の床面積は、50m2以上・240m2以下が条件です。

床面積は、壁等の中心線が囲む部分の水平投影面積を指します。

階段下スペース(トイレ・収納等)は床面積に算入し、吹き抜けやバルコニー、屋外のデッドスペース、備蓄倉庫等は除外します。

立地条件

補助金を申請する住宅は、土砂災害防止法が定める土砂災害特別警戒区域/災害危険区域(傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域に限定)に立地しないことが条件です。

自治体からの勧告に関する条件

建築主・購入者が、都市再生特別措置法第88条第5項が規定する公表の措置を受けている場合は、子育てエコホーム支援事業の対象となりません。

申請時の工事出来高

子育てエコホーム支援事業への申請時に、基礎工事の完了(杭基礎の場合は杭工事完了)など一定以上の工事出来高の確認が必要です。

工事出来高の確認は、建築士による証明書を提出します。

 

【注意】新築住宅に子育てエコホーム支援事業を適用させる期間の条件

同じ新築住宅でも、注文住宅と分譲住宅では子育てエコホーム支援事業の対象となる期間の考え方が異なります。

新築注文住宅に子育てエコホーム支援事業を適用できる期間

工事請負契約日に期間の定めはありません。

ただし、建築着工前の契約締結が条件となります。

また、基礎工事は建築着工から補助金申請までの間に完了すること(遅くとも2024年12月31日までに)、基礎工事以降の工程への着手が2023年11月2日以降であることも押さえてください。

したがって、地上階の柱や壁、梁、屋根等の工事が2023年11月1日時点で着工済みだった場合は、補助金対象外です。

新築分譲住宅に子育てエコホーム支援事業を適用させられる期間

新築分譲住宅の場合、基礎工事が建築着工から交付申請の間に完了している必要があります。最終の完了期限は、2024年12月31日です。

あわせて、基礎工事以降の工程の着手が2023年11月2日以降である点も踏まえましょう。

購入者との不動産売買契約の期間は問われませんが、交付申請までに契約の締結完了が必要です。

子育てエコホーム支援事業の補助額

子育てエコホーム支援事業の補助額は、住宅性能によって異なります。

 

住宅種類

補助額

長期優良住宅

100万円/戸

ZEH水準住宅

80万円/戸

 

市街化調整区域や土砂災害警戒区域・浸水想定区域にある住宅は、補助金額がそれぞれ半減されます。

ただし、既存住宅を取り壊し、同じ土地に新築注文住宅を立て替える場合は、要件を満たした場合のみ、満額を受領できます。

詳細は以下をご覧ください。

補足資料|新築の補助申請における立地条件について

 

子育てエコホーム支援事業に関する注意点

子育てエコホーム支援事業に関して、事業者が知っておきたい注意点を5つ解説します。

申請者

子育てエコホーム支援事業の申請は、登録事業者が行います。

交付申請するには、事前に子育てエコホーム支援事業公式サイトより、「統括アカウントの取得」「住宅省エネ支援事業者への登録」等の作業が必要です。

完了報告

子育てエコホーム支援事業の交付が決定した後、完了報告が必要です。

戸建て住宅の完了報告期限は、交付決定以降、2025年7月31日までに行います。

ちなみに、10階以下の共同住宅は2026年4月30日までに、11階以上の共同住宅は2027年2月28日が完了報告の期日です。

補助金の還元方法

子育てエコホーム支援事業の補助金は、現金で建築主に渡せる性質のものではありません。

住宅の建築・購入費用(契約代金の最終支払い)に充当する形で還元してください。

建築主や購入者が「補助金は現金で受け取れる」と勘違いしないよう、丁寧な説明が必要です。

リフォームへの適用

子育てエコホーム支援事業は、リフォームにも適用できます。

リフォームは新築住宅と異なり、対象者の年齢による制約はありません。

事前に、エコホーム支援事業者に登録した建築会社と契約したリフォーム工事すべてが対象です。

補助金額は、原則的に最大20万円/戸ですが、要件を満たすと60万円まで加算されます。

また、補助を受けられるのは以下の工事です。

  1. 開口部の断熱改修工事
  2. 外壁・屋根・天井・床の断熱改修工事
  3. エコ住宅設備の設置工事

 

(1)~(3)との同時工事で、以下も補助対象となります。

  • 子育て対応改修工事
  • 防災性向上改修工事
  • バリアフリー改修工事
  • 空気清浄機能・換気機能付きのエアコン設置工事
  • リフォーム瑕疵保険等に加入

リフォームは要件が複雑なため、事前に子育てエコホーム支援事業公式サイトで詳細を確認しておきましょう。

他の補助金との併用

子育てエコホーム支援事業は、国庫を財源とする補助金です。

国庫から支出される、対象を同じくする他の補助金とは併用できません。

地方自治体の補助金の場合、その補助金に国費が充当されていなければ併用できます。

顧客からの問い合わせに備え、商圏にある自治体の補助金を調べておくと良いでしょう。

 

まとめ

子育てエコホーム支援事業は、子育て・若者夫婦世帯の高性能住宅取得を後押しする目的で実施されています。

長期優良住宅、もしくはZEH水準住宅であることなど、条件が定められています。

補助金申請は建築会社側が行いますが、期限に向けて駆け込み申請の増加も考えられます。

予算終了までに迅速に申請するため、書類の作成や申請の外注もおすすめです。

 

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