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一次エネルギー消費量等級とは?断熱等性能等級やBELSとの違いも解説

2025年4月より、建築物の省エネ基準適合が義務化されます。建築物の省エネ性能を調べながら、「一次エネルギー消費量等級」という用語に悩まされてはいないでしょうか。

今回は、一次エネルギー消費量等級を詳しく解説します。断熱等性能等級やBELSとの違いもまとめました。一次エネルギー消費量等級や省エネ性能に関して、正しく理解するために活用してください。

 

一次エネルギー消費量等級とは何か

一次エネルギー消費量等級は、建築物に対する省エネ基準の1つです。2013年に設置されました。一次エネルギー消費量等級の考え方と、具体的な等級を解説します。

一次エネルギー消費量等級の考え方

一次エネルギー消費量等級は、建築物が1年で消費するエネルギー量を数値化した指標です。一次エネルギー消費量は「設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量」で計算でき、計算結果の単位は「BEI(Building Energy Index)」です。

設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計から想定される使用エネルギー量です。空調や換気、照明、給湯設備などから算出します。

基準一次エネルギー消費量は、地域や建物用途、室使用条件などによって定められる基準値です。

一次エネルギー消費量は3~6等級

一次エネルギー消費量等級が小さいほど、エネルギー消費量が少なく、省エネ性能が高い建築物であることを示します。建築物はBEIの値によって、3~6の等級に分けられています。

一次エネルギー消費量等級6とは

一次エネルギー消費量等級6は、2025年2月時点での最高等級です。2022年4月の法改正で新設されました。

等級6のBEIは0.8以下。再生可能エネルギーなどを除いた一次エネルギー消費量が、基準一次エネルギー消費量に対して20%以上削減できていることを示します。

一次エネルギー消費量等級5とは

一次エネルギー消費量等級5は、2022年までの最高等級でした。二酸化炭素の排出を抑制する措置が講じられた、認定低炭素住宅に求められる等級です。

1つ下の等級4と比べ、一次エネルギー消費量が10%以上削減されると等級5となります。BEIは0.9以下です。

一次エネルギー消費量等級4とは

現在、国が定める省エネ住宅の基準となる等級です。2025年度以降は、一次エネルギー消費量等級4以上が義務化されます。BEIは1.0以下です。

一次エネルギー消費量等級3とは

一次エネルギー消費量等級3は、国が定める省エネ住宅の基準を下回ってしまいます。新築住宅には適用できない等級で、既存住宅のみが対象です。BEIは1.1以下です。

 

もう1つの省エネ基準「断熱等性能等級」とは

一次エネルギー消費量等級を調べていると、しばしば「断熱等性能等級」という文言を目にするのではないでしょうか。似た用語である断熱等性能等級は、住宅の断熱性を評価する基準です。

断熱等性能等級は7等級

断熱等性能等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められる基準です。等級1〜等級7に分かれており、数値が大きいほど高い断熱性能を持つことを示します。

※参照:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省

断熱等性能等級の考え方

※参照:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省

 

断熱等性能等級は、建築物のUA値(外皮平均熱貫流率)によって決まります。UA値は、建築物からの熱の逃げにくさを示す指標です。熱の逃げにくさは地域性(気候・気温など)にも影響されるため、全国を8つに区分けして基準値が設定されています。

UA値から導かれる断熱等性能等級は、そもそもの着目点が、一次エネルギー消費量等級と異なる点を押さえましょう。

断熱等性能等級は、2022年までは等級4が最高でした。新たに等級5〜7が設置され、2025年以降に新築される建築物には、等級4以上が義務化されます。

 

省エネ規準でよく登場する「BELS」とは

建築物の省エネ基準に関しては、「BELS」という用語も登場します。

BELSとは何か、また一次エネルギー消費量等級との関連を解説します。

BELSとは

BELSは「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称で、建築物の省エネ性能を表します。日本独自の評価・表示制度で、2014年に運用が始まりました。

BELSは、第三者評価機関によって建築物の省エネルギー性能、つまりエネルギー消費性能や断熱性能が評価されます。評価の結果は「★」の数で示され、一般消費者にも省エネ性能が伝わりやすいよう工夫されています。

※参照:事業者向けガイドライン概要版資料|国土交通省

※参照:省エネ性能ラベル(第三者評価)見本|一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

BELSから見る一次エネルギー消費量等級

BELSも一次エネルギー消費量等級(BEI)も、ともに建築物の省エネ性能を測る指標です。一次エネルギー消費量等級と、BELSの★マークの数の対比は以下の通りです。

一次エネルギー消費量基準 BELSでの★の数
等級6 BEI≦0.8 ★★★★★
等級5 BEI≦0.9 0.85以下:★★★★
0.86~0.9:★★★
等級4 BEI≦1.0 ★★
等級3 BEI≦1.1

一次エネルギー消費量等級の高い建築物を建てるメリット

一次エネルギー消費量等級が高い建築物には、高効率な設備が必要となり、建築コストもかさみます。一方で、一次エネルギー消費量等級の高い建築物を建てるメリットもあります。

補助金を受けられる場合がある

建築物の省エネ化は、目下、国が主導し積極的に推進する施策です。

省エネ性能の高い建築物を普及させるため、国もさまざまな支援を用意しています。

非住宅建築物が対象の支援例

非住宅に向けた支援の例として、2つ紹介します。

住宅・建築物省エネ改修推進事業」は、既存建築物の省エネ化を促進する支援です。

既存建築物を省エネ基準適合、もしくはZEBレベルに省エネ改修すると補助金が受けられます。

補助金額(国+地方の場合)

  • 補助率:23%
  • 限度額:省エネ基準適合レベルは5,600円/m2、ZEBレベルは9,600円/m2

なお、住宅・建築物省エネ改修推進事業は住宅の省エネ化改修にも利用可能です。

 

既存建築物省エネ化推進事業」は省エネ化改修と同時にバリアフリー化する工事に対して、補助金を支給します。改修前と比較し、20%以上の省エネ効果が見込まれる場合が対象です。

補助内容

  • 補助率:3分の1まで
  • 補助限度額:5,000万円/プロジェクト

住宅が対象の支援例

戸建住宅を対象とした支援からは、「ZEH補助金」「子育てエコホーム支援事業」を紹介します。

「ZEH補助金」は、ZEH基準を有する住宅の新築・購入を支援する補助金です。個人向けには、「ZEH支援事業」「次世代ZEH+実証事業」「次世代HEMS実証事業」などの制度があります。

基準を満たすZEH住宅の新築・購入には55万円/戸、より高性能なZEH+(プラス)住宅の新築・購入には100万円/戸が提供されます。

「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯が省エネ住宅を新築・購入できるよう、後押しする制度です。子育てエコホーム支援事業は2024年度の制度名称で、過去には「こどもみらい住宅支援事業」「こどもエコすまい支援事業」と呼ばれていました。

長期優良住宅には最大100万円/戸、ZEH住宅には最大80万円が支援されるというものです。

ランニングコストを抑えられる

エネルギー効率の高い設備の導入・使用、太陽光発電システム等による創エネなどによって、ランニングコストを抑えられる点もメリットです。

国土交通省の試算によると、省エネ住宅では年間数万円単位で光熱費を節約できると言われています。

  • 北海道札幌市:96,000円~107,000円節約
  • 東京都23区:46,000円~53,000円節約

※ 参照:省エネ住宅で節約できる年間の光熱費|国道交通省

住宅設備事業者・LIXILが提供する、建築物の省エネ計算をシミュレーションできるツールも、チェックしてみてください。

 

一次エネルギー消費量等級6を取得する設計のポイント

手掛ける建築物が、最高等級である一次エネルギー消費量等級6を取得できるかどうかは、設計にかかっています。ここでは一次エネルギー消費量等級6を取得するポイントを解説します。

建築物の断熱性能を高める

最優先事項は、建築物全体の断熱性能を上げることです。他の性能が優れていても、断熱性が低ければ、室内の熱はどんどん逃げてしまいます。

断熱等性能等級が最低でも5以上になるように設計しましょう。断熱性の高い工法や断熱材を採用する、樹脂トリプルガラスなどの高性能サッシを採用するといった設計が有効です。

高効率なエネルギー設備を導入する

建築物の省エネ性能を高めるためには、「エネルギーの使用量を減らす」と同時に、効率良くエネルギーを使う考え方も大切です。

照明はすべてLED化する、エコキュートやエコジョーズなどの高性能な給湯器を選ぶといった設計も効果的です。

 

まとめ

一次エネルギー消費量等級は、建築物が1年で使うエネルギー量を数値化した指標です。建築物の省エネ性を示す基準の1つで、2025年4月以降はBEI≦1.0の等級4が義務化されます。

建築物の省エネ化は、待ったなしの課題です。省エネ基準への適合が義務化されることもあり、今後省エネ計算に追われる建築・設計会社も増えると予想されます。

 

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