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【2023年版】住宅性能評価の項目・等級について専門家が徹底解説

新築の住宅性能評価には、性能の表示項目が10分野33項目あります

住宅性能の評価は、国土交通省に登録された第三者機関が行います。

本記事では、住宅性能評価の評価分野や評価方法・等級について専門家が詳しく解説します。

住宅性能評価とは

住宅性能評価とは国土交通省に登録された住宅性能評価第三機関により行われる住宅評価のことです。

住宅の性能が統一された基準で評価されるため、住宅評価の客観的な指標として活用されています。

住宅性能評価を受けた建物は、客観的な視点で住宅の性能を比較できるため、住宅購入者は性能の高い住宅を見極めて購入できるというメリットがあります。

また、住宅販売者は住宅性能評価を受けることで住宅購入者に建物の性能をアピールできます。

住宅性能評価の項目・等級とは

住宅性能評価では、国によって定められた評価基準によって住宅の評価がされます。

住宅性能評価で評価される性能表示事項は10分野・33項目(既存住宅の場合はこのうち評価が可能な項目に限定して9分野28項目+既存住宅のみを対象とした2項目)です。

それぞれの評価分野は住宅評価後に等級が与えられます

高性能な住宅であるほど等級の数値は大きくなります

住宅性能評価には必須項目が4項目ある

住宅性能評価の10分野のうち「構造の安定」「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境・エネルギー消費」の4つの分野は必須項目です

それ以外の6分野に関しては任意での検査となるため、依頼者が評価項目を指定できます。

住宅性能評価は評価項目が多いと調査の価格が高くなりますが、その分住宅の性能を詳しく評価できるため建物の購入者に高性能な住宅であることをアピール可能です。

住宅性能評価で取得すべき等級

住宅性能評価では、調査項目により与えられる等級の数値が異なります。

より高い数値の等級を取ることにより以下のメリットが得られます。

  • 住宅ローンや地震保険で有利になる
  • 建物の資産価値が高くなる可能性がある
  • 紛争処理対応を受けられる

高い数値の等級を取得することで、住宅の資産価値向上や住宅ローン控除を受けられるなど多くのメリットが得られます。

住宅性能評価で高い数値の等級を取得するメリットについて、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

【住宅性能評価メリット記事内部リンク】

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これまでに、個人住宅、小規模事務所、大型工場など累計2,600棟以上の建物をサポートするなど豊富な実績があります。

また、当社では新築の設計住宅性能評価を取得するための申請書作成代行を行っています

※補助金の詳細に関しましては管轄している事務局や行政庁にご確認ください。

※竣工済みの新築住宅や既存住宅は現況検査が必要となりますので、評価機関に直接ご相談ください。

新築の住宅性能評価についての不明点は、ぜひ当社までお問い合わせください。

住宅性能評価の項目・等級一覧

第三機関によって行われる住宅性能評価の10分野と評価基準は以下です。

【住宅性能評価の評価分野と基準】

評価分野 主な評価基準
1 構造の安定に関すること 耐震性、地盤、基礎の構造、地震、防風、積雪対策
2 火災時の安全に関すること 耐火性、警報機器の設置、延焼防止への対策
3 劣化の軽減に関すること 建物の耐久性、木材の腐朽やシロアリ被害の軽減
4 維持管理・更新への配慮に関すること 給排水・ガスなどの配管の点検、清掃、補修のしやすさ
5 温熱環境・エネルギー消費量に関すること 断熱性、気密性、建物の省エネルギー性能
6 空気環境に関すること 化学物質への対策、使用する建材や換気方法
7 光・視環境に関すること 開口率、方位別開口比、良好な日照、通風、眺望
8 音環境に関すること 床衝撃音、外部騒音に対する対策
9 防犯対策に関すること バルコニーや窓などへの侵入防止対策
10 高齢者への配慮に関すること バリアフリー性、介護のしやすさ

以下で各分野の評価基準や与えられる等級を詳しく確認します。

①構造の安定に関すること

住宅は地震、暴風、積雪などの様々な外部の影響を受けます。

この評価分野では、柱や壁、基礎的な構造躯体などが地震、暴風、積雪にどの程度耐えられるかを等級で評価します

構造の安定に関する等級基準

住宅性能評価では、構造の安定に関する以下の7項目が検査され、住宅性能に応じて等級が与えられます。

  • 1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
  • 1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)
  • 1-3 その他(地震に対する構造躯対の倒壊等防止及び損傷防止)
  • 1-4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)
  • 1-5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)
  • 1-6 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法
  • 1-7 基礎の構造方法及び形式等

【構造の安定に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
構造の安定性に関すること 地震、暴風、積雪などへの強さや損傷のしにくさを評価する。 ・1-1 耐震等級1〜3(最高等級3)
・1-2 耐震等級1〜3(最高等級3)
・1-4 耐風等級1〜2
・1-5 耐積雪等級1〜2(多雪地域のみ)

②火災時の安全に関すること

建物には、火災に備えた対策が重要です。

この評価分野では、火災対策として「安全に避難するための対策」や「炎上を防止するための対策」などを等級で評価します

火災時の安全に関する等級基準

火災時の安全に関する以下の7項目が検査され、住宅性能に応じて等級が与えられます。

  • 2-1 感知警報装置設置等級(自住戸火災時)
  • 2-2 感知警報装置設置等級(他住戸等火災時)
  • 2-3 避難安全対策(他住戸等火災時・共用廊下)
  • 2-4 脱出対策(火災時)
  • 2-5 耐火等級(延焼のおそれのある開口部)
  • 2-6 耐火等級(延焼のおそれのある開口部以外)
  • 2-7 耐火等級(界壁および界床)

【火災時の安全に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
火災時の安全に関すること 炎が広がりにくい作りとなっているか、避難がしやすい構造となっているかを評価する。 ・2-1 感知警報装置設置等級(自住戸火災時)1〜4
・2-2 感知警報装置設置等級(他住戸等火災時)1〜4
・2-3 耐火等級(避難経路の隔壁の開口部)1〜3
・2-5 耐火等級(延焼のおそれのある開口部)1〜3
・2-6 耐火等級(延焼のおそれのある開口部外)1〜4
・2-7 耐火等級(界壁および界床)1〜4

③劣化の軽減に関すること

住宅に使われている材料は、時間の経過とともに外部の影響を受けて少しずつ劣化します。住宅の材料が著しく劣化すると住宅を使用することが困難になります。

この評価分野では、住宅の劣化を遅らせるための対策がどの程度講じられているかを評価します

劣化の軽減に関する等級基準

劣化の軽減に関する以下の項目が検査され、住宅性能に応じてそれぞれの等級が与えられます。

  • 3-1 劣化対策等級(構造躯体等)

【劣化の軽減に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
劣化の軽減に関すること 経年劣化による土台や柱の劣化を軽減するための対策が取られているかを評価する。 ・3-1 劣化対策等級1〜3(最高等級3)

④維持管理・更新への配慮に関すること

住宅の重要な設備である給排水管やガス管は内外装で隠れてしまうため、漏水などのトラブルがおこると修復や修正が困難です。

この評価分野では、給排水菅・給湯管及びガス管に着目することで、点検や清掃、補修のしやすさを評価します

維持管理・更新に関する等級基準

維持管理・更新に関する以下の4項目が検査され、住宅性能に応じてそれぞれの等級が与えられます。

  • 4-1 維持管理対策等級(専用配管)
  • 4-2 維持管理対策等級(共用配管)
  • 4-3 更新対策(共用排水管)
  • 4-4 更新対策(住戸専用部)

【維持管理・更新に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
維持管理・更新に関すること 給排水管やガス管などの点検がしやすい作りとなっているか。故障時の交換はしやすいかを評価する。

・4-1 維持管理対策等級(専用配管)1〜3
・4-2 維持管理対策等級(共用配管)1〜3
・4-3 更新対策等級(共用排水管)1〜3

⑤温熱環境・エネルギー消費量に関すること

住宅は、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるように室内の温度を適切に保つための配慮が大切です。

この評価分野では、可能な限りエネルギーの使用を抑えながら室温を維持するための配慮がされているのかを評価します

温熱環境に関する等級基準

温熱環境に関する以下の項目が検査され、住宅性能に応じて等級が与えられます。

  • 5-1 断熱等性能等級
  • 5-2 一次エネルギー消費量等級

【温熱環境に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
温熱環境に関すること 壁や窓の断熱性、エネルギー消費量削減のための対策を評価する。 ・5-1 断熱等性能等級1〜7
・5-2 一次エネルギー消費量等級1,4,5,6

⑥空気環境に関すること

住宅内の空気に、ほこりや一酸化炭素などの化学物質が含まれると、含有量がわずかであっても人の体に悪影響をもたらす可能性があります。

この評価分野では、空気に含まれる化学物質を低減するための取り組みを評価します

空気環境に関する等級基準

空気環境に関する以下の3項目が検査され、住宅性能に応じて等級が与えられます。

  • 6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等) ※建設性能評価時に申請
  • 6-2 換気対策
  • 6-3 室内空気中の化学物質の濃度等

【空気環境に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
空気環境に関すること 室内空気中の化学物質削減のための対策をしているかを評価する。 ・6-1 ホルムアルデヒド発散等級1〜3(最高等級3)

⑦光・視環境に関すること

住宅内の明るさを保つための対策は、住宅の計画上重要な課題です。

この評価分野では、開口部の効果に着目して開口部の面積や位置についての配慮を評価します

光・視環境に関する等級基準

光・視環境に関する以下の2項目が検査され、住宅性能に応じてそれぞれの等級が与えられます。

  • 7-1 単純開口率
  • 7-2 方向別開口比

【光・視環境に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
光・視環境に関すること 住居内にどのくらいの面積の窓が設けられているか評価する。 ※等級無し

⑧音環境に関すること

快適な暮らしを送るために、住宅の外部騒音が室内へ侵入を防ぐための取り組みは重要です。

この評価分野では、外部からの騒音の侵入を防ぐための取り組みを評価します

音環境に関する等級基準

音環境に関する以下の4項目が検査され、住宅性能に応じて等級が与えられます。

  • 8-1 重量床衝撃音対策
  • 8-2 軽量床衝撃音対策
  • 8-3 透過損失等級(界壁)
  • 8-4 透過損失等級(外壁開口部)

【音環境に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
音環境に関すること 住居内への外部の騒音の伝わり方を評価する。 ・8-1 重量床衝撃音対策1〜5
・8-2 軽量床衝撃音対策1〜5
・8-3 透過損失等級(界壁)1〜4
・8-4 透過損失等級(外壁開口部)1〜3

⑨高齢者等への配慮に関すること

歳をとると移動が困難になったり、転倒が大きな怪我に繋がったりすることがあります。そのため、高齢者が住みやすい住宅作りは重要です。

この評価分野では、バリアフリーへの取り組みについて評価しています

高齢者等への配慮に関する等級基準

高齢者等への配慮に関する以下の2項目が検査され、住宅性能に応じてそれぞれの等級が与えられます。

  • 9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分)
  • 9-2 高齢者等配慮対策等級(共用部分)

【高齢者等への配慮に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
高齢者等への配慮に関すること 住居内に段差などがなくバリアフリー化がなされているかを評価する。

・9-1 高齢者等配慮対策等級1〜5(最高等級5)
・9-2 高齢者等配慮対策等級1〜5(最高等級5)

⑩防犯に関すること

近年、空き巣などの住宅へ侵入して盗みを行うなどの犯罪が多く発生しており、住宅の防犯に向けた対策に関心が高まっています。

この評価分野では、住宅の防犯性を高めるための対策に関する評価が行われます。

防犯に関する等級基準

防犯に関する以下の項目が検査され、住宅性能に応じて等級が与えられます。

  • 10-1 開口部の侵入防止対策

【防犯に関する等級】

項目 内容 取得できる等級
防犯に関すること 窓やドアに防犯性の高い部品が設置されているか、屋外から侵入がしにくいかを評価する。 ※等級無し

住宅性能評価のマニュアル

国土交通省により、住宅性能評価の評価項目や等級に関する内容がまとめられたマニュアルが公表されています

住宅性能評価の評価項目・等級に関してさらに詳細に知りたい方は以下のガイドを参考にしてください。

国土交通省「新築住宅の新築住宅の住宅性能表示制度ガイド

住宅性能評価を取得するための流れも記載しているため、住宅性能評価の取得を検討している方におすすめです。

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