住宅性能評価を受けることで、住まいの性能が明らかになりより快適な生活を送ることができます。しかし、その費用が気になる方も多いはずです。
住宅性能評価を受けるためには、住宅の性能を一定の水準以上に引き上げるための工事や、第三者機関への評価書の依頼などの費用が必要です。
具体的には、「設計住宅性能評価書の費用」と「建設住宅性能評価書の費用」、「工事等その他でかかる費用」があります。
この記事では、住宅性能評価に必要な費用・料金について詳しく解説します。
また、住宅性能評価の概要やメリット・デメリットについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
住宅性能評価とは
住宅性能評価とは、良質な住宅を安心して購入できる住宅市場を構築するための評価制度です。
制度内容は、平成12年4月1日施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいており、具体的には以下のような内容が定められています。
- 住宅の性能に関する表示の適正化のための共通ルールを設ける
- 第三者機関からの客観的な評価が受けられる
- 第三者機関が交付する「住宅性能評価書」の内容は住宅の契約内容とされ性能を保証される
第三者機関から交付される住宅性能評価書は、住宅が一定の性能を有していることの証明になります。
また、住宅性能評価の概要について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
【2023年版】住宅性能評価書とは?住宅性能評価の最新の情報を専門家が徹底解説
出典:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「住宅性能表示制度とは」
住宅性能評価の評価項目・等級とは
住宅性能評価は10分野に区分されており、分野ごとに1つ以上の評価項目が定められています。
住宅性能評価の評価項目及び等級について、以下の表にまとめています。
分野 | 必須・選択項目の別 | 評価項目数 | 関連する等級 |
① 構造の安定 | 必須 | 7 | ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止) ・耐震等級(構造躯体の損傷防止) ・耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) ・耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) |
② 火災時の安全 | 選択 | 7 | ・感知警報装置設置等級(自住戸火災時) ・感知警報装置設置等級(他住戸等火災時) ・耐火等級(避難経路の隔壁の開口部) ・耐火等級(延焼の恐れのある部分(開口部)) ・耐火等級(延焼の恐れのある部分(開口部以外)) ・耐火等級(界壁及び界床) |
③ 劣化の軽減 | 必須 | 1 | ・劣化対策等級(構造躯体等) |
④ 維持管理更新への配慮 | 必須 | 4 | ・維持管理対策等級(専用配管) ・維持管理対策等級(共用配管) ・更新対策等級(共用排水管) |
⑤ 温熱環境・エネルギー消費量 | 必須 | 2 | ・断熱等性能等級 ・一次エネルギー消費量等級 |
⑥ 空気環境 | 選択 | 3 | ・ホルムアルデヒド発散等級 |
⑦ 光・視環境 | 選択 | 2 | - |
⑧ 音環境 | 選択 | 4 | ・重量床衝撃音対策等級 ・軽量床衝撃音対策等級 ・透過損失等級(界壁) ・透過損失等級(外壁開口部) |
⑨ 高齢者等への配慮 | 選択 | 2 | ・高齢者等配慮対策等級(専用部分) ・高齢者等配慮対策等級(共用部分) |
⑩ 防犯 | 選択 | 1 | - |
等級とは評価項目の中に判断指標が設けてある項目のことです。
様々な等級がありますが、数字が大きいほど性能が高いことを表します。
また、上の表は新築住宅の場合の評価項目ですが、既存住宅の場合は「⑧音環境」分野以外の9分野及び劣化状況などを踏まえた評価が必要です。
下記の記事で、住宅性能評価の項目や等級についての詳細を説明しています。細かい定義や詳細を知りたい方は合わせて確認してください。
【2023年版】住宅性能評価の項目・等級について専門家が徹底解説
出典:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
住宅性能評価の費用・料金の仕組み
評価機関や地域によって料金設定が異なりますが、一般的には、住宅の面積や評価項目の数などが料金に影響します。
また、住宅性能評価を受ける段階によって評価書が異なり、料金も変わってきます。具体的には、以下の2つです。
- 設計住宅性能評価書
- 建設住宅性能評価書
設計住宅性能評価書は、設計図書の段階の評価結果をまとめた評価書です。
一方、建設住宅性能評価書は施工段階と完成段階の検査を踏まえた評価結果をまとめたものになります。
それぞれの評価書によってかかる金額が異なるため、以下で詳細を解説します。
設計住宅性能評価書の費用
設計住宅性能評価書の費用は、評価を行う「登録住宅性能評価機関」ごとに独自に決められます。
登録住宅性能評価機関とは、国土交通省により定められた、客観的な評価を行う第三者機関のことです。
なお、設計住宅性能評価書の費用は、10〜20万円程度かかります。
ただし、評価を依頼する住宅の面積などによっても費用が変わってくるため注意が必要です。
建設住宅性能評価書の費用
建設住宅性能評価書の費用についても、登録住宅性能評価機関が独自に定めています。
建設住宅性能評価書にかかる費用は、10〜20万円程度です。
さらに設計住宅性能評価書もあわせて取得する場合には、30万円前後の費用がかかります。
その他の費用
住宅性能評価では、住宅性能評価書を取得する以外にも費用がかかる場合があります。
具体的には、住宅性能評価の要件を満たすための追加工事費用などです。
例えば耐火等級では、高い等級を満たすために延焼を防止する素材を使用する必要があります。
また、劣化対策等級については、長期間にわたって劣化しにくい素材を選ぶ必要があります。
このように、住宅性能評価を得るために追加で必要な工事などを行う必要があるため、費用がかさむ可能性があるので注意が必要です。
住宅性能評価のメリット・デメリット
住宅性能評価には、メリットとデメリットがあります。
下記にメリット・デメリットをまとめました。
【メリット】
・住宅の価値が下がりにくい
・住宅ローンや住宅保険で金利優遇が受けられる
・裁判をせずに、迅速かつ安価に紛争処理を申請できる
【デメリット】
・評価を受けるための書類準備が大変になる
・評価を受けるための費用がかかる
・評価書が交付されるまで時間がかかる
なお、住宅性能評価のメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。数値や具体例を交えて解説しています。
住宅性能評価を取得するメリット・デメリットをわかりやすく解説【2023年最新】
出典:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
新築の住宅性能評価を検討しているなら、高品質・実績多数の「環境・省エネルギー計算センター」へ相談しよう!
住宅性能評価は、良質な住宅を安心して購入できる住宅市場を構築するために重要な制度です。
また、住宅性能評価を受けることで、住宅の資産価値を保つことができたり、住宅ローンや住宅保険の金利を引き下げたり、様々なメリットが得られます。
一方で、住宅性能評価の基準を満たすためには工事を追加で行う必要があるなど、費用がかさむことがデメリットです。
さらに、住宅性能評価を受けるための書類準備や申請は大きな負担になり、時間もかかるため、できる限り効率的に進めていく必要があります。
「環境・省エネルギー計算センター」では、新築の住宅性能評価にかかる申請書作成・省エネ計算代行業務を行なっています。
※補助金の詳細に関しましては管轄している事務局や行政庁にご確認ください。
※竣工済みの新築住宅や既存住宅は現況検査が必要となりますので、評価機関に直接ご相談ください。
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※個人の方はまずは身近な設計事務所や施工会社にご相談された方が手続きがスムーズです。