よくご質問頂く、法令上の省エネ基準と受取基準の違いについて解説させて頂きます。
省エネ基準とは?
まず、省エネ基準は法令上の省エネ基準値を満たす基準になります。
住宅の場合は、外皮(等級4)、1次エネルギー(1.0以下)計算の両方の基準をクリアする必要があります。
非住宅(延床面積2,000㎡以下)の場合は、1次エネルギー(1.0以下)計算のみ(外皮計算はしますがその数値は基準値を満たしていなくても問題ありません)の数値が基準をクリアしている必要があります。
受付基準とは?
一方、受取基準は建設地の役所(省エネ計算提出先)が独自に設けている(省エネ基準値と同等もしくはそれ以下の)基準になり、例えば、以下のような基準になります。
- 外皮性能等級3、1次エネルギー1.1以内(この基準を設けている役所が多いです)
- 外皮性能等級3、1次エネルギー1.0以内
また、以下のように基準値は設けていない対応をする役所もあります。
- どのような数値でも受け取るが、指示書をだすかは計算書を確認してから判断
- どのような数値でも受け取るが、指示書をだす(横浜市は、さらに、措置内容報告書(省エネ基準を満たすための(省エネ計算をしたうえで)変更内容を記載)を提出する必要があります。)
受取基準の場合は、法令上の省エネ基準を満たしていないため省エネ不適合物件となります。
しかし省エネ法令上の義務は、着工日21日前の届出義務のみであり、省エネ基準適合義務はありませんので、法令上は不適合でも問題はありません。
役所による不適合の場合の取り扱いは、
- 不適合通知がでる
- 不適合の押印を副本におされる
- 通知もでない、押印もおされない、などのケースがあります。
いずれにしても、(法令上、省エネ基準適合義務はありませんが)不適合ではありますので、建築主に事前に確認して頂いた方が望ましいです。
省エネ基準を満たす物件とは?
省エネ基準値を満たす物件ですが、住宅と非住宅は省エネ計算方法が違っており、非住宅は比較的、省エネ基準を満たす可能性が高く、住宅は省エネ基準を満たす物件は少なくなっています。
省エネ基準をクリアするためには外皮の場合、断熱材を厚くしたり、性能の良い断熱材への変更、建具を性能の良いものに変更するなど、1次エネルギーの場合、空調、給湯、照明などの設備を性能の良いものに変更する必要があります。
しかし建設費がアップしてしまうため、大抵の物件はそのままの数値(受取基準)で提出するケースが多いです。(分譲マンションなど性能評価で等級4を満たす物件など、お客さんにアピールしたい、会社のコンプライアンス上、省エネ基準を満たす必要があるなど特別な場合のみ、省エネ基準を満たす物件が多いです)
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