近年、SDGsやESG経営など、企業に対しても環境への配慮が求められる時代になっています。
それに伴い、企業が保有している不動産に対して、はBELS(ベルス)やZEB(ゼブ)といった、環境への配慮を第三者機関が評価する認証制度の獲得に向けた取り組みが一般化しています。
その中でも、CASBEEウェルネスオフィスは、主にビルなどの建物内で働く人が、健康で生産的に活動するための環境性能を評価するツールです。
CASBEEウェルネスオフィス認証を取得することで、生産的な環境を作るとともに、経済的なメリットを受けることができます。
この記事では、CASBEEウェルネスオフィスの評価項目や、認証を取得するメリットを分かりやすく解説しています。CASBEEウェルネスオフィス認証の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
CASBEEウェルネスオフィスとは?
CASBEEウェルネスオフィスとは、建物で働く人の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みを評価するツールです。
働く人の健康性や快適性に直接的に影響を与える要素を評価するだけでなく、知的生産性の向上や安全・安心に関する要素も評価します。
CASBEEウェルネスオフィスの評価対象になる主な建物は、事務所です。複合用途ビルの場合は、主に事務所用途の部分を対象に評価を行います。
なお、複数フロアが評価対象になる場合、主要なエリア、もしくは基準階などの代表的な階やエリアを対象として評価を実施することも可能です。
CASBEEウェルネスオフィスの認証タイプ
CASBEEウェルネスオフィス認証には、「CASBEEウェルネスオフィス認証」と「CASBEEスマートウェルネスオフィス認証」の2タイプがあります。
申請する際は、2タイプからいずれかを選択することが可能です。
CASBEEウェルネスオフィス認証は、以下のようにCASBEEウェルネスオフィスの評価ツールを用いて認証されることで取得できます。
評価内容 | ウェルネス評価 |
ツール | CASBEE-WO |
評価員 | CASBEE-WO評価員 |
CASBEEスマートウェルネスオフィス認証は、以下のようにCASBEEウェルネスオフィス評価と、CASBEE建築やCASBEE不動産といった総合環境性能評価を組み合わせることで評価を行うものです。
評価内容 | ウェルネス評価 | 総合環境性能評価 |
ツール | CASBEE-WO | CASBEE 建築(新築) CASBEE 建築(既存) CASBEE 不動産のいずれか |
評価員 | CASBEE-WO評価員 | CASBEE 建築評価員 CASBEE 不動産評価員 |
CASBEEスマートウェルネスオフィス認証の総合環境性能評価は、CASBEE建築やCASBEE不動産の評価結果が「B+」以上であることが条件です。
CASBEEスマートウェルネスオフィスは、CASBEEウェルネスオフィス認証に比べて評価ツールが多いため、認証取得の難易度は高いといえます。
CASBEEウェルネスオフィスの評価項目
CASBEEウェルネスオフィスは5つの大項目から成り、大項目の下に評価要素、評価項目があります。
大項目と評価要素は以下の通りです。
大項目 | 評価要素 |
健康性・快適性 | 空間・内装 音環境 光・視環境 熱・空気環境 リフレッシュ 運動 |
利便性向上 | 移動空間・コミュニケーション 情報通信 |
安全性確保 | 災害対応 有害物質対策 水質安全性 セキュリティ |
運営管理 | 維持管理計画 満足度調査 災害時対応 |
プログラム | メンタルヘルス対策 社内情報共有インフラ 健康増進プログラム |
評価項目ごとに採点基準が定められており、それぞれ1~5の5段階で評価することができます。
CASBEEウェルネスオフィスのランク
各評価項目の5段階評価の結果をもとに総合得点を算出することで、CASBEEウェルネスオフィスのランクを評価します。
CASBEEウェルネスオフィスのランクはC~Sまでの5段階で表されます。
総合得点を基準にしたランク分けは以下の通りです。
ランク | ランク表示 | 評価 | 総合得点(100点満点) |
S | ★★★★★ | すばらしい | >75点 |
A | ★★★★ | 大変良い | ≧65点 |
B+ | ★★★ | 良い | ≧50点 |
B- | ★★ | やや劣る | ≧40点 |
C | ★ | 劣る | <40点 |
CASBEEウェルネスオフィスにおいて、”標準的である”と判断されるランクは「B+」なので、最低でも「B+」を目指しましょう。
CASBEEウェルネスオフィス認証を取得するメリット
CASBEEウェルネスオフィス認証の取得には、従業員の労働環境面だけでなく、企業の経済面においても多くのメリットが存在します。
CASBEEウェルネスオフィスのメリットは、主に下記3つです。
- 健康と知的生産性向上の両立
- 不動産価値の向上
- 助成金制度の適応
以下で、それぞれ詳しく見ていきます。
健康と知的生産性向上の両立
CASBEE認証を取得する1つ目のメリットは、健康と知的生産性向上の好循環が生まれることです。
CASBEEウェルネスオフィスでは、働く人の健康性、快適性に直接的に影響を与える評価項目だけでなく、知的生産性の向上に関する評価項目も定められています。
そのため、CASBEEウェルネスオフィスの評価項目を満たすことで、働く人の集中力の向上やコミュニケーションの活性化につながり、知的生産性が向上します。
知的生産性の向上は、労働時間の短縮や働く人の意欲の向上をもたらし、結果的に健康を維持することにつながるのです。
不動産価値の向上
CASBEE認証を取得する2つ目のメリットは、不動産の価値が向上することです。
不動産証券化ジャーナルによると、環境認証を受けているビルは受けていないビルに比べ、賃料が約4.4%高くなります。
また、CASBEE評価が1ランクアップすることで、賃料が約1.7%上昇するとされています。
CASBEE認証を取得することで、自社の不動産価値向上につながるのです。
助成金制度の適応
CASBEE認証を取得する3つ目のメリットは、助成金制度が適用されるケースがあることです。
助成金制度の例として、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」が挙げられます。
同事業は、省エネ・省CO2に関する先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のプロジェクトに対して、国が支援するものです。
補助率は補助対象費用の2分の1で、補助限度額は1プロジェクトあたり原則5億円です。
同事業では、CASBEEのSランク相当、もしくはBELSの5つ星などの要件を満たし、省CO2の波及・普及に寄与しているプロジェクトが優先的に採択されます。
上記のような助成金制度において、CASBEE認証を取得していることは有利に働きます。
CASBEEウェルネスオフィス認証の申請の流れ
最後に、CASBEEウェルネスオフィス認証の申請の流れを見ていきましょう。
以下の図にあるように、申請者は、まずCASBEEウェルネスオフィスによる評価を実施し、評価結果をもとに申請書や申請図書を作成した上で申請します。
申請が受理されると、審査が開始されます。
認証機関から質問や修正依頼が来たら、回答・修正・追加資料の提出などの対応をしましょう。
審査が終了すると証明書が交付され、証明結果を活用できるようになります。
具体的には下図のイメージです。
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これまで見てきたように、CASBEEウェルネスオフィス認証の取得には様々なメリットがあります。
しかし、CASBEEウェルネスオフィス認証には、いくつもの評価項目があることに加え、認証されるためには多くの工程を踏む必要があります。
そのため、専門的な知識やCASBEE評価員の資格が必要です。
多くのCASBEE申請代行業務の実績を誇る当社「環境・省エネルギー計算センター」は、お客様のご要望に応じた高品質な代行サービスを提供いたします。
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