CASBEE不動産評価認証を取得できれば様々なメリットがあります。
とはいえ、「具体的にどんなメリットがあるかぼんやりとしかわからない」「CASBEE不動産評価員の有資格者がいなければならず、自社では申請できない」と思われているかもしれません。
CASBEE不動産評価認証を取得すれば、投資家へのアピールにつながり、今後、賃料上昇や物件利回り低下などが期待されるメリットがあります。 また、CASBEE不動産評価認証を申請する際は、資格保有者がいる外注業者を利用する方が、手間が省け、適切なランクを取得できる可能性が高くなります。
この記事では、CASBEE不動産評価認証を取得するメリットをより具体的にお伝えしていきます。また外注業者をどう選べばいいか選定のポイントもお伝えしますので、外注業者を選ぶ上で参考にしてください。
CASBEE不動産評価認証を取得する3つのメリット
CASBEE不動産評価認証を取得するメリットを3つお伝えします。
①投資家へのアピールにつながる
CASBEE不動産評価認証は環境配慮はもちろん、室内の快適性や景観への配慮などを総合的に評価するシステムです。そのため、認証を取得できれば、自社の物件が環境性能や快適性に優れている「グリーンビルディング」であることを見える化でき、投資家へアピールできるでしょう。
グリーンビルディングとは、環境性能が優れている建物のことを言います。昨今、投資家の間では、ESG投資と呼ばれる「環境や社会、企業統治に配慮した投資」が主流になってきており、不動産投資においてはグリーンビルディングが注目されています。
ESG投資が主流になってきている背景としては、2006年に国連が世界の投資業界に向けて提唱した「PRI(責任投資原則)」があります。PRIにより、投資判断にもESG評価を取り込むべきだという考えが広がりました。
また、2008年にリーマン・ショックが起きたことや2015年に「SDGs(持続可能な開発目標)」が制定されたことで、短期的に利益を追うのではなく、長期的に利益を志向するESG投資が後押しされました。 CASBEE不動産評価認証は不動産投資におけるESG投資の評価基準のひとつとも言えます。
そのためCASBEE不動産評価認証を取得すれば、不動産投資を行う投資家へ十分アピールできると言えるでしょう。 特に高ランクである「Sランク」や「Aランク」の評価が得られると、より投資家への良いアピールになるはずです。
②GRESBの加点対象になる
CASBEE不動産評価認証を取得できれば、GRESBの加点対象になります。GRESBは、CASBEEとは異なり、個別不動産ではなく不動産会社・ファンド単位の環境性能を測るシステムです。
GRESBの評価項目の中に環境認証を受けた保有物件を問う項目があり、その中で、CASBEE不動産評価認証が評価対象となっています。GRESBはESG投資における業界標準として不動産投資家の間では認識されており、投資判断をする上で非常に重要な指標のひとつです。
GRESBは不動産単体ではなく、組織として環境や社会、企業統治に配慮していることが見える化できるため、CASBEE不動産評価認証よりもさらに投資家へ良い印象を与えられると言えるでしょう。 まずはCASBEE不動産評価認証で高ランクの取得を目指すと、後々のGRESBの取得に役立ちます。
③賃料が上昇したり、利回りが低下したりする要因になる
CASBEE不動産評価認証を取得できれば、投資家がグリーンビルディングであることを認識できるため、賃料上昇や利回り低下の要因になります。 ここで一般財団法人日本不動産研究所が投資銀行や不動産賃貸など123社を対象に、2021年4月に行った不動産投資家調査というものを紹介します。
この調査によると、「ESG投資に適した不動産の賃料収入は、そうではない不動産に比べてどの程度の違いがあるか?」という質問に対して、10年後には「1〜5%程度高い」と感じているという回答をした会社が約60%ほどいるという結果が出ました。
出典:不動産投資家調査
また「ESG投資に適した不動産はそうではない不動産に比べて、期待利回りはどの程度違いがあるか?」という質問に対して、10年後には「ー10bp(ー0.1%)」と感じているという回答をした会社が約40%ほどいるという結果が出ています。
出典:不動産投資家調査
このことから、ESG投資に適した不動産であることは、将来的には賃料上昇や利回り低下の要因になる見通しであることがわかります。 CASBEE不動産評価認証を取得しておくことは、ESG投資に適した不動産であるひとつの要素になり得るため、賃料が上昇したり、利回りが低下する要因と言えるでしょう。
CASBEE不動産評価認証の費用
CASBEE不動産評価認証の費用は「認定手数料」と「申請代行手数料」の二つで成り立っています。
下記の章にて、各手数料の詳細および金額について記載します。
CASBEE不動産評価認証の認定手数料
認定手数料とは、CASBEEを運営する機関が認定した第三者機関の認定手続きに対する手数料です。なお、自治体のCASBEEの場合は費用がかかりません。
CASBEE不動産評価認証の認定手数料は、延べ面積と用途によって金額が変わります。単一用途の場合、おおよそ10万円から20万円です。
CASBEE不動産評価認証の申請代行手数料
申請代行手数料とは、CASBEEの申請を代行事業者に委託する場合にかかる費用です。
もちろん、申請の代行を委託せず自ら申請を行う場合は費用はかかりませんが、代行事業者に委託する会社が多いです。
こちらは、自治体のCASBEEであるかどうかに関わらず、代行事業者に委託する場合には費用が発生します。
CASBEE不動産評価認証の申請代行手数料も、建物の規模と用途によって金額が変わります。金額はおおよそ数十万円程度です。
CASBEEの費用の詳細については、下記記事にて解説しています。
CASBEEの費用の考え方やCASBEE建築との違いについて詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。
https://www.ceec.jp/column/casbee-price/
CASBEE不動産評価認証申請の外注先を選定する7つのポイント
CASBEE不動産評価認証申請は一回きりで終わるものではなく、物件ごとにする必要があります。毎回業者を探す手間がかからないように、長期的に継続して依頼できる業者を見つけておくのが良いでしょう。
それでは、CASBEE不動産評価認証申請の外注先を選ぶ上で、どのようなポイントを考慮すればいいのか、ここからお伝えしていきます。
①スクリーニングから提出・受け取りまでの作業を依頼できるか
スクリーニングからCASBEE不動産評価、申請書作成、提出、受け取りまでの作業を全て一括で依頼できる業者を選ぶようにしましょう。 CASBEE不動産評価認証は、竣工後1年以降の既存建築物で、建物用途がオフィス、店舗、物流施設、集合住宅、改修用途(それらの複合用途を含む)に限定されています。
これらの物件を複数運用や保有している場合、どの物件でCASBEE不動産評価認証を取るべきか、どの物件であれば高ランクの評価が得やすいかなどを自社で判断するのは困難です。 そのため専門的な知識を有する外注業者にスクリーニングをしてもらえた方が、希望するランクを取得しやすくなるでしょう。
また、申請書の提出、受け取りをする際は、民間検査機関から複数回の質疑が行われます。質疑の内容は専門的で、細かいものが多いため、外注先に依頼できると手間も減り、希望するランクの取得がしやすくなります。
②他の環境不動産認証などの申請業務も相談できるか
CASBEE不動産評価認証だけではなく、BELS不動産認証などの他の環境不動産認証の申請業務も相談・依頼できる外注先を選びましょう。 今後そういった環境不動産認証の取得を考えたときに、1から新たな業者を探そうと思うと手間になります。
また図面・資料などを複数の業者に改めて送らなければならず、やりとりが増えてしまいます。 CASBEE不動産評価認証申請の依頼だけのことを考えて外注先を決めるのではなく、長期的に付き合える外注業者を選ぶようにしてください。
③費用は適正価格であるか
CASBEE不動産評価認証申請を外注する際にできるだけ費用を抑えようとされているかもしれません。ですが、安いだけの業者を選ぶのは避け、作業範囲や内容などに合わせて適正価格で依頼できるところを探すと良いでしょう。
なぜなら、費用が安いだけの業者は、評価や書類作成の品質が悪く、希望するランクが取得できないこともあるからです。中には申請途中で連絡が取れなくなってしまう外注業者もあります。
安いに越したことはありませんが、それ以上に品質に問題がなさそうか、最後まで安心して依頼できるかも考慮して選ぶようにしてください。
④追加費用が発生しないか
スクリーニング、CASBEE不動産評価、申請書作成、質疑応答など工数が増えると、それに応じた追加費用を請求する外注業者もあります。そのため追加費用がなるべくかからない外注業者を選ぶ方が無難です。
はじめに提示された料金が他の業者より安い場合でも、追加費用が発生した結果、他の業者よりも総額は高くなってしまったということもあるようです。
見積もりを出してもらった段階で、その費用はどこからどこまでの作業費で、どんな場合に追加費用がかかるのかなどの詳細を確認をしておきましょう。
⑤説明はわかりやすく丁寧にしてもらえるか
安心して依頼するために、CASBEE不動産評価申請について説明がわかりやすく丁寧にしてもらえるか確認するようにしましょう。 外注業者の業務範囲や自社が担当する業務がどういったものになるのか、説明がわかりづらい場合は、CASBEE不動産評価認証申請についての理解が浅いと考えられます。
理解がしっかりとできている外注業者であれば、わかりやすく丁寧に、こちらがわからないことがないように説明をしてくれるはずです。 依頼をする前に、業務範囲や担当業務など不明点が残らないように詳細を聞いておき、安心して依頼できる外注業者を選ぶようにしてください。
⑥納期に余裕がない時にも対応してもらえるか
決算の都合でその期にCASBEE不動産評価認証を取得したいなど、納期に余裕がないときにも対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。中には、納期に余裕がないと断わる外注業者もあります。
着手するまでの期間や作業日数がどれくらいかかるのか、依頼をする前に確認しておくことも大切です。ただし民間検査機関の審査期間は1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかりますので、それを考慮して、それよりも余裕のあるスケジュールで依頼をするようにしましょう。
⑦実績があって知見・知識を豊富に持っているか
CASBEE不動産評価認証申請をどれだけやっているのかという実績も外注先を選ぶ上で大切なポイントです。実績があまりない外注業者だと、評価ランクを上げるための変更提案の際に、一般的な設計・運用上ではあり得ない様な提案を受ける場合もあります。
そういった外注業者に依頼をしてしまうと、自社や投資家の方針・意向とは合わない運用をしなければならず、自社ブランドのイメージが崩れてしまうこともあるでしょう。費用がある程度かかったとしても知識や知見、経験のある外注業者を選ぶようにしてください。
CASBEE不動産評価認証申請を外注するなら環境・省エネルギー計算センターへ
CASBEE不動産評価認証申請の外注先を探しているなら、ぜひ環境・省エネルギー計算センターへご依頼ください。
環境・省エネルギー計算センターは品質がよく、スピード納品で、柔軟性・信頼性が高く、適正価格でCASBEE不動産評価認証申請を致します。
・スクリーニングから提出、受け取り、質疑応答まで一括で請負可能
・BELSなどの他の環境不動産認証や省エネ計算の相談
・依頼も可能で、全て対応できる外注業者は少ない
・業務範囲や内容に応じた適正価格
・過去の案件で追加費用の発生はなし
・申請が初めての人にもわかりやすく説明
・具体的な建築物が決まっている場合、1.5ヶ月〜2.5ヶ月、決まっていない場合、スクリーニングを含めて2.5ヶ月〜3.5ヶ月で納品
・省エネ計算を含めた累計棟数1,000棟
環境・省エネルギー計算センターでは、物件ごとに高ランクを取得するために必要な要件とのギャップ分析を実施し、取り組むべき評価項目とその内容を提案させて頂く「高ランク(S、A)取得に向けたギャップ分析」というオプションサービスも実施しております。
特定の物件でバリューアップ等を通じて高ランクを目指す場合にご利用いただけます。
業務詳細については、こちらのページに詳細を記載しておりますので合わせてご参照くださいませ。
見積もりだけではなく、CASBEE不動産評価認証に関する疑問などありましたら、下記からお気軽にお問い合わせください。
CASBEE不動産評価認証申請を外注する基本の流れ
CASBEE不動産評価認証申請を外注する場合、実際どのような流れになるのか、ここで確認しておきましょう。 外注先によって変わる部分もあると思いますが、大まかな流れは一緒です。
今回は一例として、環境・省エネルギー計算センターでの流れを説明します。 詳しい内容は問い合わせいただければ丁寧にお伝えしますので、ここでは参考程度にしてください。
STEP1.お問い合わせ
お問い合わせはメールか電話で受け付けています。以下までお問い合わせください。
・メール:24時間受付
・電話:03-5944-8575(受付時間 平日 9:30~18:30)
見積もりだけだけではなく、CASBEE不動産評価認証に関する疑問にもお答えしますので、お気軽にご連絡ください。
STEP2.見積依頼資料を送付
問い合わせをいただいたら、見積依頼資料送付用のメールを送らせていただきます。以下の資料を添付して返信をお願いします。
・平面図
・立面図
・断面図
・建築概要書(建設地などが記載されたもの)
揃えられない図面などありましたら、現状揃っている資料のみで大丈夫です。
STEP3.見積書の受け取り
資料をお送りいただいてから1営業日以内には、見積書をメールにて送らせていただきます。CASBEE不動産評価認証申請に必要な資料リストも一緒に送付させていただくので、あわせてご覧いただき、ご不明点などあれば再度ご連絡ください。
STEP4.必要な資料の送付
見積書額や納期に納得いただけたら、資料リストにある資料を送付してください。資料の詳細は実際に送られてくる資料リストを見ていただくか、もしくはお問い合わせいただければお答え致します。
今回は例として、店舗の必要書類を以下に挙げておきます。
・外観写真、内観写真(代表的なもの)
・竣工図一式(建築、構造、設備、電気、衛生、植栽計画、樹種リスト、外構図を含む)
・運用管理体制表(エネルギー、節水)、運営管理体制図
・年間電力消費量実績、年間ガス消費量実績(伝票等3年分)
・電気、ガス以外のエネルギー(オイル、自然エネルギー等)を使用している場合は、その消費量がわかる資料(伝票等3年分)設備の設計図書、設計計算書、実績データなど
・年間上水使用実績(伝票等3年分)と次年度目標値(L/㎡・年)
・常勤者数と男女比、来場者数と男女比(平日と土日共)、営業日数、食堂(社員食堂)の食数
・検査済証
・エンジニアリングレポートまたは、⻑期保全計画書 設備毎の更新間隔が確認できる資料
・廃棄物処理負荷抑制の取組みが確認できる資料
・管理業務委託契約書(管理会社との契約書:2年以上継続して業務契約)
・清掃と設備の維持管理における業務手順マニュアル(両方必要)
・清掃と設備の維持管理報告書(点検報告書)(両方必要)
・年1回以上の環境等をテーマにしたトレーニングの計画と記録
・EMS認証(ISO 14001 認証書の写し等)
・建設前の航空写真、又は住宅地図
・緑化管理方針書
・空気環境測定の記録(1年分)
・清掃、設備の維持管理において、環境配慮を明示している基本方針書
・清掃計画書(外気に接するガラス・照明)
STEP4.5.スクリーニング
以下のような場合、1ヶ月間かけてスクリーニングを行います。
・高ランクが取得できそうな物件がわからない
・複数物件を運用・保有しているため、どの物件の優先順位が高いかわからない
・評価申請したが希望の評価ランクが取得できるか不安
スクリーニングを行い、どの物件も目標ランクに届かない場合はそこで申請作業は終わらせていただきます。目標ランクに届いている場合は、STEP5の作業に移っていきます。
STEP5.評価・申請書作成
お送りいただいた資料を元に評価・申請書の作成などをさせて頂きます。不足資料や情報があれば、こちらからメールにて確認させて頂きます。通常、評価・申請書の作成に2週間~1ヶ月程度かかります。お急ぎの場合は、納期のご相談をさせて頂きますので、お気軽にご連絡ください。
STEP6.CASBEE不動産評価認証機関に提出〜評価認証
民間検査機関に申請書類を提出すると、評価認証されるまでに通常1ヶ月〜1.5ヶ月ほどかかります。提出から受け取りまでの民間検査機関とのやりとりも全て弊社が担います。
STEP7.認証書のお渡し
認証書が発行されたら、CASBEE不動産評価申請書(副本)と一緒に郵送にてお渡しします。
CASBEE不動産評価認証申請についてよくある質問
最後にCASBEE不動産評価認証申請の作成についてよくある質問をまとめておきます。
Q1.CASBEE不動産評価認証申請をするためにBELSの取得も必要?
A.必要ではありません。
BELSの取得をしていない場合は、公共料金(水光熱費)1年分の資料を使ってCASBEE不動産評価認証申請ができます。BELSを新規で取ろうと思うと費用や手間がかかります。既にBELSを取得している場合は、BELSもしくは水光熱費の数値にて、評価が良いほうを活用することが可能です。
Q2.CASBEE不動産評価認証の有効期限は?
A.CASBEE不動産評価認証の有効期間は5年となります。
有効期限が切れた場合は再度申請し直す必要があります。
Q3. CASBEE不動産評価員とは?
A. CASBEE不動産評価員とは、CASBEE不動産認証の評価を正しく実施できる人を指します。
CASBEE不動産評価員の資格を得るには、講習を受け、試験に合格する必要があり、CASBEEを運営する「一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター」が、認定し資格を与えます。
CASBEE不動産評価認証申請は外注した方が圧倒的に手間がかからない
CASBEE不動産評価認証申請は外注した方が圧倒的に手間もかからず、楽に済ませることができるでしょう。
ただし外注先の選び方を間違えてしまうと、「費用が他社よりかかってしまう」「希望する評価ランクが取得できない」などのトラブルにつながる可能性もあります。
スムーズに取得できるように、安心して、信頼できる外注業者に依頼をするようにしましょう。
当社はお客様のニーズに合わせた最適なご提案いたします。