CASBEE新潟(新潟市建築環境総合性能評価制度)は新潟市が平成22年4月から実施している、環境に優しい建築物の整備促進のための独自の評価システムです。
この記事ではCASBEE新潟(新潟市建築環境総合性能評価制度)の概要や対象、評価・届出方法について解説します。
新潟市独自の7つの重点評価項目や、具体的な事例も3つ紹介するので、ぜひ最後まで読んでご覧ください。
CASBEEとは
CASBEEとは、Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(建築環境総合性能評価システム)のことです。
建築物の環境性能や品質を総合的かつ客観的に評価するシステムとして、国土交通省の支援により開発が進められ、平成15年から運用開始されています。
CASBEEの主たる目的は、建築物がどの程度環境に配慮しているのか、性能を客観的に評価することです。
評価項目には省エネルギー性能などの「環境配慮」に関することや、景観への配慮など「環境品質」に関わることなどが含まれており、さまざまな観点から環境性能を総合的に評価できます。
出典:一般社団法人 日本サステナブル建築協会「CASBEE®に関する研究開発」
CASBEE新潟(新潟市建築環境総合性能評価制度)とは
CASBEE新潟(新潟市建築環境総合性能評価制度)とは、新潟市の気候や風土を活かしながら、環境に配慮した建築物の整備を促進するための制度です。
新潟市民が安全・安心に暮らせる都市環境の確保、持続可能な社会の構築、地球環境の保全に寄与することを目的としています。
なおCASBEE新潟は、「CASBEE-新築(簡易版)」をもとに新潟市が独自の内容を追加して、平成22年に開発しました。
CASBEE新潟による評価がされた建築物は、評価結果が新潟市ホームページで公表されます。
これにより、市民は建築物の性能をわかりやすく知ることができ、かつ市内に質の高い建築物が増えることで魅力的なまちなみを形成できるのです。
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟〜新潟市建築環境総合性能評価制度マニュアル(v.4.0)〜」
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CASBEE新潟の対象
CASBEE新潟(新潟市建築環境総合性能評価制度)の対象は、以下の通りです。
- 新築、増築または改築する床面積の合計が 2,000 ㎡以上の建築物
新潟市内で上記建築物を新築、増築または改築する建築主は、所定の届出を行わなければなりません。
また、CASBEE新潟は新潟県ではなく新潟市の制度であるため注意が必要です。
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟〜新潟市建築環境総合性能評価制度マニュアル(v.4.0)〜」
CASBEE新潟の評価方法
CASBEE新潟では、基本的に「CASBEE-建築(新築)」と同様に評価を行います。
具体的には5つ星の数と、S・A・B+・B-・Cの5段階評価です。
またCASBEE新潟には、7つの重点評価項目が設定されています。
7つの重点評価項目は、それぞれCASBEE新潟イメージキャラクターの「キャスリップちゃん」の数で5段階に評価されます。
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟〜新潟市建築環境総合性能評価制度マニュアル(v.4.0)〜」
CASBEE新潟の重点評価項目
CASBEE新潟の重点評価項目は、以下の7つです。
- 長寿命化への取組み
- 地震への取組み
- 大雨への取組み
- 自然エネルギーの取組み
- 資源循環の取組み
- 水と緑を活かす取組み
- 新潟のまちらしさへの取組み
それぞれ詳しく見ていきましょう。
長寿命化の取組み
建築物を長期的かつ安全に使い続けるためには、日頃の維持管理や設備更新のしやすさについて、建築物の企画や設計段階から配慮することが重要です。
また、バリアフリーに配慮することで、誰もが安心して利用できる建築物になります。
このように、CASBEE新潟では建築物の長寿命化・建築物及び利用者への配慮に関する取組みを評価します。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・バリアフリー計画(Q2.1.1.3)
・維持管理(Q2.1.3)
・設備の更新性(Q2.3.3)
地震への取組み
地震などの災害から人命・財産を守るための、建築物の「耐震性」や「信頼性」の向上を図る取組みについて評価を行います。
耐震性とは地震発生時の建築物自体の壊れにくさのことで、信頼性とは災害時に建築物の機能がどれだけ維持できるかということになります。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・耐震・免震・制震・制振(Q2.2.1)
・信頼性(Q2.2.4)
大雨への取組み
新潟市は海抜0m以下の低地が多く、これまでもたびたび浸水被害を受けてきました。
このような背景から災害に強いまちづくりを進めるために、大雨への取組みも重点評価項目の1つになっています。
具体的には、建築物敷地内からの雨水流出を抑制して、公共下水施設への負荷を軽減する取組みが評価されます。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・雨水排水負荷低減(LR3.2.3.1)
自然エネルギーの取組み
自然エネルギーの取組みも重点評価項目の1つです。
冷暖房の使用エネルギー量を削減して温室効果ガスの排出量を抑制することで、低炭素社会の実現を目指します。
評価される取組みは、建物の外壁・屋根等の断熱性能の向上や自然エネルギーの活用に向けた取組みです。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・建物外皮の熱負荷抑制(LR1.1)
・自然エネルギー利用(LR1.2)
資源循環の取組み
資源循環の取組みは、資源消費及び環境負荷の低減を図って循環型社会を実現することが目標です。
具体的には、建設時におけるリサイクル材の使用や運用段階における水資源の保護、解体時のリサイクル促進などの取組みが評価されます。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・節水(LR2.1.1)
・非構造材料におけるリサイクル材の使用(LR2.2.4)
・部材の再利用可能性向上への取組み(LR2.2.6)
水と緑を活かす取組み
新潟市は海や川・潟などの水辺や豊かな田園、里山などの自然環境に恵まれているのが特徴です。
これらの豊かな自然を守り、次の世代に繋げていくための取組みが評価されます。
具体的には生物環境の保全・創出の取組みや、敷地内温熱環境を向上させるための日陰の形成、緑地・水面の確保、屋上緑化などの取組みが評価対象です。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・生物環境の保全と創出(Q3.1)
・敷地内温熱環境の向上(Q3.3.2)
新潟のまちらしさへの取組み
これまで新潟市内の各地域において、自然や歴史・文化など地域の個性や魅力が守られ、受け継がれてきました。
CASBEE新潟では、これらを活かしながら、新潟らしいまちなみ・景観の創出や歴史・文化の継承、にぎわいの創出などに貢献 する取り組みが評価されます。
なお、該当評価項目は以下の通りです。
〈該当評価項目〉
・まちなみ・景観への配慮(Q3.2)
・地域性への配慮、快適性の向上(Q3.3.1)
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟〜新潟市建築環境総合性能評価制度マニュアル(v.4.0)〜」
CASBEE新潟の届出
CASBEE新潟の対象となる建築物の建築主は、各種届出を行わなければなりません。
届出には、主に以下の4つがあります。
【建築物環境配慮計画書の提出】
建築物の確認申請または計画通知の10日前までに、建築物環境配慮計画書及び必要書類を提出しなければなりません。
【建築物環境配慮計画変更届出書の提出】
建築物の計画に変更が生じる場合には、変更項目によって以下の通り建築物環境配慮計画変更届出書及び必要書類を提出する必要があります。
変更項目 | 提出期限 |
・特定建築物の名称及び所在地 |
すみやかに |
・特定建築物の概要 ・CASBEE-建築(新築)による建築物環境総合性能評価結果 ・CASBEE 新潟による重点項目に対する取組み度の評価結果 |
その工事に着手する日の 14 日前までに |
【建築物工事完了届出書の提出】
建築物工事完了届出書は、工事完了後14日以内に提出しなければなりません。
【建築物工事取止届出書の提出】
建築物の工事を取りやめた場合には、すみやかに建築物工事取止届出書を提出する必要があります。
CASBEE新潟の届出先
CASBEE新潟の届出先は以下の通りです。
部署:新潟市 建築部 建築行政課 建築審査係
住所:〒951-8554 新潟市中央区古町通7番町1010番地(古町ルフル6階)
電話番号:025-226-2849
FAX番号:025-229-5190
CASBEE新潟の届出に関することは、上記届出先に問い合わせてください。
CASBEE新潟のマニュアル
CASBEE新潟に関するマニュアルは、新潟市ホームページの以下の遷移先にあるリンクからダウンロードが可能です。
トップページ > くらし・手続き > 住まい・建築 > 建築 > 建物をたてる時(その他法令等) > CASBEE(キャスビー)新潟 > CASBEE新潟 > CASBEE新潟マニュアル(バージョン4.0)
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟〜新潟市建築環境総合性能評価制度マニュアル(v.4.0)〜」
CASBEE新潟は市のホームページに公開される
CASBEE新潟の届出は、新潟市のホームページで公表されます。
これは、環境に配慮した質の高い建築物を増やし、魅力的なまちなみを形成することが目的です。
公表することで市民が建築物の性能についてわかりやすい指標で理解できます。
なお、公表先のリンクを以下に添付しています。
出典:新潟市ホームページ「令和元年度 CASBEE新潟届出物件一覧」
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟〜新潟市建築環境総合性能評価制度マニュアル(v.4.0)〜」
CASBEE新潟の事例
CASBEE新潟の事例について、3つ紹介します。
- (仮称)米山1共同住宅
- 新潟盲学校・新潟聾学校統合校
- 新潟市北区役所
事例①:(仮称)米山1共同住宅
建物名称 | 建築用途 | 建設地 | 階数 構造 | 工事完了(予定)年月 | 評価結果 |
(仮称)米山1共同住宅 | 集合住宅 | 新潟市中央区 米山一丁目10番24 | 地上12階 RC造 | 令和2年9月 | A |
(仮称)米山1共同住宅の建築工事について、CASBEE新潟の届出がなされています。
地上12階建てのRC造で、延床面積は3,586.24平方メートルです。
重点評価項目の「資源循環の取組み」では、節水型の便器やリサイクル資材を採用したことで、4.7の高評価を得ています。
その他、共同住宅という用途から室内環境や防犯面への配慮も十分であり、A評価を得た事例です。
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟 評価結果((仮称)米山1共同住宅)」
事例②:新潟盲学校・新潟聾学校統合校
建物名称 | 建築用途 | 建設地 | 階数 構造 | 工事完了(予定)年月 | 評価結果 |
新潟盲学校・新潟聾学校統合校 | 学校、集会所、集合住宅 | 新潟県新潟市東区竹尾2丁目2番1号 | 地上2階 RC造 | 令和3年4月 | A |
新潟盲学校・新潟聾学校統合校の建築工事について、CASBEE新潟の届出がなされています。
地上2階建てのRC造で、延床面積は10,818.98平方メートルです。
「様々な交流を生み出す施設」「大人の目で見守れる施設」「居心地の良い施設」「安らぎを感じることができる学校」「心理的負担・プライバシーに配慮した施設」を基本方針に基づく様々な配慮により、7つの重点評価項目すべてで平均以上の評価を得ています。
総合でもA評価を得ている、環境への配慮が十分になされた建築物です。
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟 評価結果(新潟盲学校・新潟聾学校統合校)」
事例③:新潟市北区役所
建物名称 | 建築用途 | 建設地 | 階数 構造 | 工事完了(予定)年月 | 評価結果 |
新潟市北区役所 | 事務所、集会所 | 新潟県新潟市北区東栄町1丁目地内 | 地上3階 S造 | 令和2年11月 | A |
新潟市北区役所の建築工事について、CASBEE新潟の届出がなされています。
地上3階建てのS造で、延床面積は4,482.28平方メートルです。
重点評価項目のうち、「自然エネルギーの取組み」と「新潟のまちらしさへの取組み」で4.5の高評価を得ています。
区役所と公民館の複合施設で、多様な活動に利用できる配慮がされつつ災害への対策もされている、総合A評価の建築物です。
出典:新潟市ホームページ「CASBEE新潟 評価結果(新潟市北区役所)」
CASBEEの届出は当社「環境・省エネルギー計算センター」に無料で相談しよう!
この記事では、CASBEE新潟(新潟市建築環境総合性能評価制度)の概要や対象、評価・届出方法、具体的事例などについて解説しました。
CASBEE新潟の届出を行うことで、環境への配慮が十分で、かつ快適な建築物であることをアピールできます。
一方で、CASBEE新潟の届出は、省エネに関する難しい計算を行ったり、多くの提出書類を揃えたりする必要があるなど非常に面倒です。
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