CASBEE北九州の評価項目や取得方法をご存知ですか。
CASBEE北九州(北九州市建築物総合環境性能評価制度)とは、福岡県北九州市が進める、環境に配慮した建築物の推進を目的とした独自の評価制度のことです。
この記事ではCASBEE北九州の取得方法や評価項目について詳しく解説します。
また、具体的な申請の手順や届出先、さらには事例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
CASBEEとは
CASBEEとは、Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiencyの略で、建築環境総合性能評価システムのことです。
CASBEEは国土交通省の支援のもと開発が進められ、2003年度から運用が開始されました。
CASBEEの主な目的は、建築物がどれだけ環境に配慮した性能を持っているか客観的に評価することです。
評価項目では、省エネルギー性能や環境負荷が低い資材の利用などの環境配慮に関することや、室内の快適性や景観への配慮等の環境品質に関わることなど、環境性能を総合的に評価しています。
なおCASBEEは、2003年度の制度開始以降、法整備の状況や社会環境の変化に応じた改訂が行われてきました。
出典:一般社団法人 日本サステナブル建築協会「CASBEE®に関する研究開発」
CASBEE自治体とは
CASBEE自治体とは、一定規模以上の建築物を対象に、CASBEEの届出を条例により義務付けている自治体のことです。
この制度により、建築主や関連する各種業者は、自身のプロジェクトにおいて環境配慮をどのように行っているのか評価し、その結果を公表することが求められます。
CASBEE自治体は、条例の制定及び届け出を義務化することで、より環境に配慮した建築物の整備を促進し、その地域の環境改善を促しているのです。
出典:一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター「自治体によるCASBEEの活用」
CASBEE北九州とは
CASBEE北九州(北九州市建築物総合環境性能評価制度)とは、福岡県北九州市の地域性を取り入れた、独自の評価システムです。
内容は、以下の通りです。
- 建築主自身が建築物の環境性能を評価し、「特定建築物環境配慮計画」とその根拠資料北九州市に届け出る
- 北九州市は届出のあった「特定建築物環境配慮計画」の概要を、市ホームページ等で公表する
北九州市は上記の取り組みにより、環境に配慮された建築物の整備を促進と、環境保全や持続可能な都市の実現を目指しています。
CASBEE北九州の対象
CASBEE北九州では、届出の対象となる建築物について、以下の通り定めています。
- 延べ面積2,000平方メートル以上の新築、増築又は改築の建築物(増築又は改築の場合は、当該増築又は改築部分の延べ面積)
また届出は、CASBEE建築(新築)の評価結果を活用することとされています。
出典:北九州市ホームページ「北九州市建築物総合環境性能評価制度(CASBEE北九州)について」
CASBEE北九州なら当社「環境・省エネルギー計算センター」へ無料で相談しよう!
CASBEE北九州の届出でお困りの方は、ぜひ当社「環境・省エネルギー計算センター」へお問い合わせください。
当社は、CASBEE業務の代行業務について、豊富な実績がございます。
無料相談を受け付けておりますので、まずは一度ご相談ください。
CASBEE北九州の評価方法
CASBEE北九州の評価制度は、CASBEE建築(新築)による評価に加えて、北九州市の地域性を考慮した4つの重点評価項目に関する取り組みについて、評価を行います。
具体的には、CASBEE建築(新築)による評価では、建築物の環境効率ランクを5段階で評価します。この評価は星印の数で評価されます。
一方、4つの重点評価項目では「よい・ふつう・がんばろう」の3段階評価結果が表示されます。この評価はマスコットキャラクターの表情を用いて視覚的に示されます。
CASBSEE北九州の重点評価項目
CASBEE北九州における重点評価項目とは、北九州市の地域性を踏まえて、特段の配慮が必要な項目のことです。
専門家等で構成された委員会が、CASBEE建築(新築)の評価項目の中から、この地域で特に配慮すべき4つの項目を選び出しています。
以下が選ばれた4項目です。
- 循環型社会への貢献
- 地球温暖化対策の推進
- 豊かな自然環境の確保
- 高齢社会への対応
それぞれ見ていきましょう。
①循環型社会への貢献
「循環型社会への貢献」では、以下の配慮が必要です。
- リサイクルに関する配慮
- 長寿命化に関する配慮
北九州市は、「北九州エコタウン事業」などを通じて、循環型社会の構築に向けた積極的な取り組みを推進しています。
②地球温暖化対策の推進
「地球温暖化対策の推進」では、以下の配慮が必要です。
- 省エネ・省資源に関する配慮
- 節水に関する配慮
北九州市では「地球温暖化対策推進計画」が策定されています。
この計画に基づき、市が定めた目標達成に向けて、「地球温暖化対策の推進」がCASBEE北九州の重点評価項目として設けられています。
③豊かな自然環境の確保
「豊かな自然環境の確保」では、以下の配慮が求められます。
- 生態系保全に関する配慮
- 緑化に関する配慮
現在の北九州市に残る豊かな自然環境を継承していくため、「豊かな自然環境の確保」が重点評価項目に指定されています。
④高齢社会への対応
「高齢社会への対応」では、以下の配慮が求められます。
- バリアフリーに関する配慮
北九州市は、政令指定都市の中で高齢化率が最も進んでいる地域です。
そのため、高齢者や障害者等の移動等円滑化に配慮したバリアフリー対策を進めることが重要であり、CASBEE北九州の重点評価項目の1つに「高齢社会への対応」が設定されています。
出典:北九州市ホームページ「CASBEE北九州」の概要(リーフレット)」
CASBEE北九州の評価マニュアル
CASBEE北九州の評価マニュアルの記載内容は、以下の通りです。
- はじめに
- 1.制度の概要
- 2.CASBEEについて
- 3.CASBEE北九州とは
- 4.CASBEE北九州の評価方法
- 5.CASBEE北九州の評価結果
- 6.届出手続きの流れ
- 7.添付図書
- 8.届出内容の公表
- 9.届出書様式
なお、CASBEE北九州の評価マニュアルについては、北九州市ホームページからダウンロード可能です。
また、「CASBEE建築(新築)2016年版 評価マニュアル」は、住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)のホームページでダウンロードできます。
出典:北九州市ホームページ「CASBEE北九州 評価マニュアル」
CASBEE北九州の届出について
CASBEE北九州の届出について解説します。
CASBEE北九州の届出では、以下の書類及び図書の提出が必要です。
- 特定建築物環境配慮計画書
- CASBEE北九州 公表用シート
- メインシート
- 評価結果シート
- スコアシート
- 解説シート ※
- 付近見取図
- 配置図
- 緑地計画図 ※
- 各階平面図
- 2面以上の立面図
- 2面以上の断面図
- 内部仕上表 ※
- 計算書 ※
- 機器リスト ※
- 空調ダクト系統図 ※
- 空調配管系統図 ※
- 基準階平面図(設備) ※
- 衛生機器リスト ※
- 給排水系統図 ※
- 照明関係図、照度計算書 ※
- エネルギー関係図 ※
- その他市長が必要と認める図書
上記の※印の書類及び図書について、以下の届出の場合には省略でき、かつ電子申請も行えます。
- CASBEE建築評価員が評価確認した届出
- CASBEE評価認証を取得している建築物に係る届出
省略する場合は、代わりにCASBEE建築評価員登録証明書(登録書を含む)の写し、またはCASBEE評価認証の写しを提出しなければなりません。
そのほか、対象の建築物の建築に関わる工事が完了した場合には、速やかに「特定建築物工事完了届出書」を届け出る必要があります。
また、特定建築物環境配慮計画書の内容変更時には「特定建築物環境配慮変更届出書」、特定建築物の新築等を取りやめる場合には「特定建築物取りやめ届出書」を提出します。
CASBEE北九州の届出時期
CASBEE北九州の届出(特定建築物環境配慮計画の届出)は、建築物の新築等の工事に着手する予定日の21日前までに行う必要があります。
CASBEE北九州の届出先
CASBEE北九州を届け出る際は、担当課である北九州市建築都市局指導部建築指導課に届け出を行います。
【北九州市建築都市局指導部建築指導課】
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
電話:093-582-2531
なお、CASBEE北九州の届出は、令和5年4月10日から一部電子申請も可能になりました。
しかし、電子申請には特定の条件があります。
CASBEE評価員登録制度により登録されたCASBEE建築評価員が評価を確認した届出、またはCASBEE評価認証機関にてCASBEE評価認証を取得した建築物に関する届出に限り、電子申請が可能です。
さらに、電子申請では添付図書を省略することができますが、上記の条件を満たさない場合は電子申請ができないため、注意が必要です。
出典:北九州市ホームページ「北九州市建築物総合環境性能評価制度(CASBEE北九州)について」
CASBEE北九州の事例
CASBEE北九州の事例について、以下の3つを紹介します。
- 株式会社富士精工新社屋新築工事
- ヤフー北九州データセンター7号棟増築工事
- ドーミー小倉さくら通り新築工事
以下で詳しく見ていきます。
事例①:株式会社富士精工新社屋新築工事
建物名称 | 建築物の所在地 | 建物用途 | 建築主 | 設計者 | 環境性能ランク |
株式会社富士精工新社屋新築工事 | 八幡西区屋敷一丁目 | 事務所 | 株式会社 富士精工 代表取締役 藤山 真司 | 株式会社 松尾組 | B+ |
株式会社富士精工の新社屋新築工事について、CASBEE北九州の届出がされています。
延床面積は2,295平米です。
設計上の配慮事項として、前面道路の閉塞感を解消するためのセットバック配置や、敷地の高低差を有効利用するレベル計画などが挙げられます。
これらは、周囲の環境に配慮しつつ、建築物の機能性や美観を保つための重要な要素となります。
また、外壁への断熱パネルの採用や、節水器具を採用するなど、環境負荷軽減を図っています。
環境性能ランクでは、B+の評価です。
事例②:ヤフー北九州データセンター7号棟増築工事
建物名称 | 建築物の所在地 | 建物用途 | 建築主 | 設計者 | 環境性能ランク |
ヤフー北九州データセンター7号棟増築工事 | 八幡東区大字前田 | 工場 | ヤフー株式会社 代表取締役 川邊 健太郎 | 株式会社 NTTファシリティーズ | B− |
ヤフー北九州データセンター7号棟の増築工事について、CASBEE北九州の届出が行われています。
延床面積は6,152平米です。
快適な室内環境への取り組みとして、防汚性の高い床材や環境性能の高い屋内仕上げ材を使用しています。これらの素材は、耐久性と環境への配慮を兼ね備えています。
さらに、この建物では雨水排水負荷を低減するための施策も取っています。
具体的には、浸透枡や浸透管を設置して雨水を地中に浸透させることで、都市部で問題となる雨水の排水負荷を軽減しています。
環境性能ランクはB−を取得しています。
事例③:ドーミー小倉さくら通り新築工事
建物名称 | 建築物の所在地 | 建物用途 | 建築主 | 設計者 | 環境性能ランク |
ドーミー小倉さくら通り新築工事 | 小倉北区中島一丁目 | 集合住宅 | 個人 | 大塚建築設計事務所 | B+ |
集合住宅であるドーミー小倉さくら通りの新築工事について、CASBEE北九州の届出がされています。
延床面積は3,565平米で、地上9階のRC造です。
「循環型社会への貢献」では5点満点の2.9点、「豊かな自然環境の確保」では5点満点の1.6点を獲得し、いずれも「がんばろう」(3第段階評価の最低評価)とされました。
一方で、「地球温暖化対策の推進」及び「高齢社会への対応」では「ふつう(3段階評価の真ん中の評価)」評価を受けており、環境性能ランクもB+を得ています。
出典:北九州市ホームページ「令和2年度CASBEE届出建築物 評価結果公表分」
CASBEE北九州を取得するなら、実績豊富の当社「環境・省エネルギー計算センター」に無料相談!
この記事では、北九州市の独自の建築物環境評価制度、CASBEE北九州についての概要と具体的な事例について解説しました。
対象となるのは新築で延べ面積2,000平方メートル以上の建築物です。
CASBEE北九州による評価を実施することで、建築主は消費者に対して、建築物に関する環境性能のアピールが可能になります。
一方で、届出には多くの書類や図書を揃えたり、環境性能の複雑な計算を行ったりする必要があるため、手間がかかる作業となります。
当社「環境・省エネルギー計算センター」ではCASBEE業務の代行を承っております。
無料相談を行っておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。