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CASBEEの事例・制度・評価基準について徹底解説|高ランクの具体的事例についてもご紹介【2023年】

CASBEEとは、建築物を環境性能で評価し格付けする総合的な評価システムのことです

CASBEEは、2001年4月に国土交通省の支援のもと産官学共同プロジェクトとして開発された建築環境総合性能評価システムであり、継続的にメンテナンスが行われています。

この記事では、CASBEEの特徴や種類、評価基準、高ランクを取得した具体的事例について紹介します。これからCASBEEの取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

事例一覧を先に確認したい人は「CASBEEの高ランク具体的事例」をクリック・タップすることで該当箇所まで移動することができます。

CASBEEとは

CASBEEは、建築物の環境に対するさまざまな側面を客観的に評価するシステムとなり、以下の3つの概念に基づいて開発されています。

  • 建築物のライフサイクルを通じた評価ができること
  • 「建築物の環境品質(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること
  • 「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)」で評価すること

CASBEEには複数の種類があり、評価するスケールに応じた4つの種類と自治体による特徴を反映した自治体版CASBEEの活用などを総称して「CASBEEファミリー」と呼ばれています

CASBEEについては下記の記事で分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

参考:CASBEEとは?主な評価ツールの種類や仕組みなどを、わかりやすく解説!

CASBEE評価の仕組みや種類

CASBEEの評価の仕組みは以下の3つになります。

 

(1)2つの評価分野:QとL Q(Quality)建築物の環境品質 L(Load)建築物の環境負荷にそれぞれ区別して評価
(2)CASBEEで評価対象として選んだ4つの主要分野とその再構成 (1)エネルギー消費(energy efficiency) (2)資源循環(resource efficiency) (3)地域環境(outdoor environment) (4)室内環境(indoor environment)
(3)環境性能効率(BEE)を利用した環境ラベリング BEE(Built Environment Efficiency)とは、Q(建築物の環境品質)を分子として、L(建築物の環境負荷)を分母とすることにより算出される指標

 

BEEを用いることによって、建築物の環境性能の評価結果を視覚的に表すことが可能です。

BEEの値は、Qが高くLが低いほど、よりサステナブルな性向の建築物であるという評価になります

また、傾きの角度が大きいほどサステナブルな建築物であると評価され、ランクは上から順にS、A、B+、B−、Cの5段階で表示されます。

 

CASBEE評価の仕組みや種類

参考:住宅・建築SDGs推進センター

CASBEEの評価項目について、詳細を下記記事で解説しています。建築物が新築か既存によって該当する評価項目も変わるので、ぜひ合わせて確認してください。

参考:CASBEEの評価項目をプロが解説!「新築建築物」か「既存不動産」によって評価が変わる!

CASBEE建築(新築)の評価対象・評価結果・ランク

CASBEE建築(新築)は、「CASBEE新築(簡易版)」と「CASBEE新築」が統合された評価制度です

「CASBEE新築(簡易版)」は、建築物の環境性能水準や設計目標の設定、地方公共団体への届出書類の作成を目的とした制度となっており、「CASBEE新築」は、環境設計の実施内容の詳細評価や第三者認証の取得を目的とした制度となっています。

CASBEE建築(新築)の評価は、戸建住宅を除く以下の建築物が適用対象となります。

 

用途区分 用途名 含まれる用途
非住宅系用途 事務所 事務所、庁舎、郵便局など
学校 小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校、各種学校など
物販店 百貨店、マーケットなど
飲食店 飲食店、食堂、喫茶店など
集会所 公会堂、集会場、図書館、博物館、ボウリング場、体育館、劇場、映画館、パチンコ屋、展示施設など
工場 工場、車庫、倉庫、観覧場、卸売市場、電算室など
住宅系用途 病院 病院、老人ホーム、身体障害者福祉ホームなど
ホテル ホテル、旅館など
集合住宅 集合住宅(戸建は対象外)

 

採点結果は「スコアシート」と「結果表示シート」に集約され、BEE値による5段階評価にて対象建築物の環境効率は表示されます。

 

CASBEE建築(新築)の評価対象・評価結果・ランク

 

 

BEE値によるランクと評価

下記がBEE値によるランクと評価です。

 

ランク 評価 BEE値ほか ランク表示
S Excellent 素晴らしい BEE=3.0以上、かつQ=50以上 ★★★★★
A Very Good 大変良い BEE=1.5以上3.0未満 ★★★★
B+ Good 良い BEE=1.0以上1.5未満 ★★★
B- Fairly Poor やや劣る BEE=0.5以上1.0未満 ★★
C Poor 劣る BEE=0.5未満

 

CASBEE建築(新築)については下記の記事でより詳しく解説していますので、合わせて確認してください。

参考:CASBEE建築(新築)の評価方法とは?BEEランクやライフサイクルCO2評価について詳しく解説!

CASBEE戸建の評価対象・評価結果・ランク

CASBEE戸建は、戸建住宅の設計内容に基づき、総合的な環境性能を評価するツールです。より良い住環境を整備することや省エネルギー・省資源に配慮されることにより、住生活の質を向上させ、日本全体の環境負荷を削減することにつながります。CASBEE戸建はこのような優良な住宅ストックを増やすことを目的として定められています。

CASBEE戸建は「一戸建専用住宅」と「二世帯住宅(確認申請上の専用住宅の内部で行き来できる場合)」を評価対象としており、以下の評価基準を元に格付けを行います。

 

環境品質・性能(QH)が高いことを評価する
QH1 室内環境を快適・健康・安心にする
QH2 長く使い続ける
QH3 まちなみ・生態系を豊かにする
環境負荷(LR)を低減する取り組みを(LRH)で評価する ※LRは環境負荷低減性(Load Reduction)の略
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
LRH3 地球・地域・周辺環境に配慮する

 

CASBEE戸建の評価対象・評価結果・ランク

 

CASBEE戸建の環境効率 BEEH=QH/LRH

ランク 評価 BEEH値 ランク表示
S Excellent 素晴らしい BEEH=3.0以上 ★★★★★
A Very Good 大変良い BEEH=1.5以上3.0未満 ★★★★
B+ Good 良い BEEH=1.0以上1.5未満 ★★★
B- Fairly Poor やや劣る BEEH=0.5以上1.0未満 ★★
C Poor 劣る BEEH=0.5未満

 

CASBEE不動産の評価対象・評価結果・ランク

CASBEE不動産は、建築物のCASBEEにおける環境評価の結果を不動産評価に活用することを目的として開発されました。評価対象は、竣工後1年以上経過した既存建築物となります。ただし、建築物の用途は、オフィス、店舗、物流施設、集合住宅(それらの複合用途を含む)に限定されているので注意が必要です

「CASBEE不動産2021年SDGs対応版」の評価ソフトやマニュアルは、「建築環境・省エネルギー機構」の図書販売で購入する必要があります。(PDF版ダウンロードはありません)

認証物件とランクについては、「CASBEE不動産マーケット普及板の先行認証結果にみられる傾向と、今後の活用可能性」(Value Design 2013年秋号)で確認できます。

また、環境不動産の経済価値の評価と分析については、「国土交通省 環境不動産ポータルサイト」も参考にしてください。

CASBEE不動産については下記の記事でメリットを中心により詳しく解説していますので、合わせて確認してください。

参考:CASBEE不動産を申請・取得する3つのメリット!不動産評価認証の外注先を決めるポイントも徹底解説

CASBEEウェルネスオフィスの評価対象・評価結果・ランク

CASBEEウェルネスオフィスは、建築物利用者の健康性・快適性の維持・増進を支援する建築物の仕様や性能、取り組みを評価することを目的としたツールです。評価対象は、事務所(オフィス)を主な用途としている建築物です。

「CASBEEウェルネスオフィス2021年SDGs対応版」の評価ソフトやマニュアルは、「建築環境・省エネルギー機構」の図書販売で購入する必要があります。(PDF版ダウンロードはありません)

CASBEEウェルネスオフィスはCASBEE建築をベースとした評価基準を定めていますが、環境効率の概念を持たないためBEEは算出せずに評価します。CASBEEウェルネスオフィスの採点基準は以下の通りです。

 

(1)レベル1〜5の5段階評価とし、基準値の得点はレベル3とする
(2)原則として、建築基準法等、最低限の必須要件を満たす場合は、レベル1、一般的な水準と判断される場合はレベル3と評価できる採点基準とする
(3)一般的な水準(レベル3)とは、評価時点の一般的な技術・社会水準に相当するレベルをいう

 

CASBEEウェルネスオフィスについては下記の記事で分かりやすく解説しています。

参考:CASBEEウェルネスオフィスとは?評価項目や認証取得のメリットを解説!

CASBEE街区の評価対象・評価結果・ランク

CASBEE街区は、単体建築物だけでなく建築群としての環境性能を評価することを目的として開発されました。2006年7月に公表されたCASBEEまちづくりを、地域の防災性能やエネルギー環境安定化の要綱を盛り込むなど抜本的に改訂したものがCASBEE街区です。CASBEE街区では、評価対象としてベースとなるべき一団の空間の広がり(もしくは境界線)の意味で「対象区域」とし、街区/地区スケールまで広げ評価します。

また、CASBEE街区には、以下の活用方法が期待されます。

 

(1)面開発型プロジェクトにおける環境配慮計画ツールとして活用
(2)環境ラベリングツールとして活用
(3)街区/地区スケールでの、省エネ改修などの計画・評価ツールとして活用
(4)都市計画を、サステナブルな街づくりの観点から補強するツールとして活用

 

CASBEE街区の評価ソフトやマニュアルは、「建築環境・省エネルギー機構」の図書販売で購入する必要があります。(PDF版ダウンロードはありません)

自治体によるCASBEEの活用

CASBEEの導入によって地域の建築物の環境配慮を実現することを目的として、24の自治体では一定規模以上の建築物を建てる際に環境計画書の届出を義務付ける制度が設けられています

CASBEEの届出を義務付けている24の地域は、以下の通りです。

 

公共団体名 対象となる延床面積(㎡) 施行日 累計提出件数(2021年3月末現在)
名古屋市 2,000超 2004.4.1 2,859
大阪市 2,000以上 2004.10.1 2,913
横浜市 2,000以上 2005.7.1 2,735
京都市 2,000以上 2005.10.1 1,295
京都府 2,000以上 2006.4.1 580
大阪府 2,000以上 2006.4.1 2,098
神戸市 2,000以上 2006.8.1 1,291
兵庫県 2,000以上 2006.10.1 2,294
川崎市 2,000以上 2006.10.1 935
静岡市 2,000以上 2007.7.1 2,183
福岡市 5,000超 2007.10.1 556
札幌市 2,000以上 2007.11.1 985
北九州市 2,000以上 2007.11.1 264
さいたま市 2,000以上 2009.4.1 618
埼玉県 2,000以上 2009.10.1 2,171
愛知県 2,000超 2009.10.1 2,178
神奈川県 2,000以上 2010.4.1 1,195
千葉市 2,000以上 2010.4.1 324
鳥取県 2,000以上 2010.4.1 241
新潟市 2,000以上 2010.4.1 326
広島市 2,000以上 2010.4.1 708
熊本県 2,000以上 2010.10.1 899
柏市 2,000以上 2011.1.1 285
堺市 2,000以上 2011.8.1 392

 

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CASBEEの高ランク具体的事例

現在のCASBEEの全事例は下記ページで公表されています。

ここでは、CASBEEの種類別に高ランクを取得した事例について紹介します。

 

CASBEE建築 CASBEE建築評価認証物件一覧
CASBEE戸建 CASBEE戸建評価認証物件一覧
CASBEE不動産 CASBEE不動産評価認証物件一覧
CASBEE街区 CASBEE街区評価認証物件一覧
CASBEEウェルネスオフィス CASBEEウェルネスオフィス評価認証物件一覧
CASBEE自治体 各自治体のページ

CASBEE建築(新築)

【Sランク:事務所】栄研化学 新研究所棟新築工事

【Sランク】栄研化学 新研究所棟新築工事

参考:CASBEE評価認証一覧「栄研化学 新研究所棟新築工事」

 

【Aランク:事務所・工場】MFLP 大阪交野

【Aランク】MFLP 大阪交野

参考:CASBEE評価認証一覧「MFLP 大阪交野」

 

【Aランク:工場】DPLつくば阿見Ⅱ 新築工事

【Aランク】DPLつくば阿見Ⅱ 新築工事

参考:CASBEE評価認証一覧「DPLつくば阿見Ⅱ 新築工事」

 

CASBEE戸建

【Sランク:戸建住宅】吉野一戸建て分譲住宅

【Sランク】吉野一戸建て分譲住宅

参考:CASBEE評価認証一覧「吉野一戸建て分譲住宅」

 

【Sランク:戸建住宅】万江様邸新築工事

【Sランク】万江様邸新築工事

参考:CASBEE評価認証一覧「万江様邸新築工事」

 

【Sランク:戸建住宅】池山モデル

【Sランク】池山モデル

参考:CASBEE評価認証一覧「池山モデル」

 

CASBEE不動産

【Sランク:事務所】ヒューリック葛西臨海ビル

【Sランク】ヒューリック葛西臨海ビル

参考:CASBEE評価認証一覧「ヒューリック葛西臨海ビル」

 

【Sランク:物流施設】ロジクロス厚木Ⅱ

【Sランク】ロジクロス厚木Ⅱ

参考:CASBEE評価認証一覧「ロジクロス厚木Ⅱ」

 

【Sランク:事務所】内神田ミッドスクエア(区分所有建物)

【Sランク】内神田ミッドスクエア(区分所有建物)

参考:CASBEE評価認証一覧「内神田ミッドスクエア(区分所有建物)」

 

CASBEEウェルネスオフィス

【Sランク:SWO】東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー

【Sランク】東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー

参考:CASBEE評価認証一覧「東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー」

 

【Sランク:SWO】グランパークタワー NTTアーバンバリューサポートオフィス

【Sランク】グランパークタワー NTTアーバンバリューサポートオフィス

参考:CASBEE評価認証一覧「グランパークタワー NTTアーバンバリューサポートオフィス」

 

【Sランク:SWO】技術センターSOU

【Sランク】グランパークタワー NTTアーバンバリューサポートオフィス

参考:CASBEE評価認証一覧「技術センターSOU」

 

CASBEE街区

【Sランク】Suitaサスティナブル・スマートタウン

【Sランク】Suitaサスティナブル・スマートタウン

参考:CASBEE評価認証一覧「Suitaサスティナブル・スマートタウン」

 

【Sランク】HARUMI FLAG

【Sランク】HARUMI FLAG

参考:CASBEE評価認証一覧「HARUMI FLAG」

 

【Sランク】リストガーデンnococo-town

【Sランク】リストガーデンnococo-town

参考:CASBEE評価認証一覧「リストガーデンnococo-town」

 

自治体によるCASBEE

自治体版CASBEEの事例については、下記の各自治体の認証一覧にて確認してください。

 

名古屋市 CASBEE名古屋 評価建築物の紹介
大阪市 CASBEE大阪みらい 建築物環境計画書の公表
横浜市 CASBEE横浜 建築物環境配慮計画の概要の公表
京都市 CASBEE京都 建築物排出量削減計画書等の公表
京都府 CASBEE京都府 特定建築物排出量削減計画書等の公表
大阪府 CASBEE大阪府 建築物環境計画書の公表
神戸市 CASBEE神戸市 評価結果の公表
兵庫県 CASBEE兵庫県 届出の概要の公表
川崎市 CASBEE川崎 計画書等の公表
静岡市 CASBEE静岡 建築物環境配慮計画書の公表
福岡市 CASBEE福岡 建築物環境配慮制度計画書の公表
札幌市 CASBEE札幌 建築物環境配慮制度計画書の公表
北九州市 CASBEE北九州 建築物総合環境性能評価制度
さいたま市 CASBEEさいたま 建築物環境配慮計画などの公表について
埼玉県 CASBEE埼玉県 環境配慮計画書の届出の一覧
愛知県 CASBEEあいち 建築物環境配慮計画書の公表
神奈川県 CASBEE神奈川県 建築物温暖化対策計画書制度公表
千葉市 CASBEE千葉市 建築物環境配慮制度(公表)
鳥取県 CASBEEとっとり 建築物環境配慮計画制度の概要
新潟市 CASBEE新潟 届出物件一覧
広島市 CASBEE広島 建築物環境配慮制度
熊本県 CASBEE熊本 建築物環境配慮計画書等の届出
柏市 CASBEE柏 建築物環境配慮計画書の概要の公表
堺市 CASBEE堺 CASBEE届出公表一覧

 

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