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CASBEE評価認証制度とは?申請方法やメリット・デメリットを解説

建築物の環境性能を第三者機関が評価・認証する制度として、「CASBEE評価認証制度」があります。

CASBEEは自己評価も可能ですが、手間やコストをかけて第三者機関による認証を受けるメリットを知りたい方もいるでしょう。

この記事では、CASBEE評価認証制度の申請方法やメリットを解説します。

評価認証を受ける際の注意点も記載するので、認証取得を検討している方は参考にしてください。

 

CASBEEとは

CASBEEとは、建築物や建築物周囲の環境性能を総合的に評価するシステムのひとつです。

2001年4月に国土交通省の支援のもと「建築物の総合的環境評価研究委員会」が開発したシステムで、2021年7月の最新版では持続可能な社会づくりを目指すSDGsの理念が反映されています。

省エネ性能や環境に配慮した材料の使用等の評価にプラスし、建築物で働く人が健康的に過ごすための快適性や、建築物の不動産価値などさまざまな角度から建築物の環境性能を審査するのが特徴です。

応用力が高く、自治体によっては建築物を建てる際に自治体版CASBEEの届出を義務付けている場合もあります。

 

CASBEE評価認証制度とは

CASBEE評価認証制度とは、評価ツールの結果をもとに「一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)」が認定した機関に審査・認証を依頼する制度です。

CASBEEは申請者がツールを使用して自己評価をする方法もあり、一般社団法人住宅・建築SDGs推進センターの「CASBEE建築 自主評価登録物件一覧」に登録、公表が可能です。

一方、第三者機関による評価認証を受けた建築物は、一般社団法人住宅・建築SDGs推進センターの「CASBEE評価認証物件一覧」に登録、公表されます。

 

CASBEE評価認証を受ける3つのメリット

自己評価するだけでなく、第三者機関による評価認証を受けるメリットを3つ解説します。

評価への信頼性が高まる

CASBEE評価認証は、評価結果の信頼性を高められるのがメリットです。

前述したとおり、CASBEEは評価ツールを用いて自己評価を行い、登録・公表ができます。

しかし自己評価の結果を保証するものはなく、信頼性が高いとは言い難いでしょう。

一方、第三者機関が評価内容を審査して認証する評価認証は、評価への信頼性が高まるのが大きな強みです。

ESG経営の企業として投資家にアピールできる

近年、ESG投資がトレンドになっており、ESG経営を積極的に実施する企業に注目が集まっています。

ESGとは会社の利益だけを追求するのではなく、環境や社会に配慮した適切なガバナンス(企業統治)がされた経営です。

ESG経営を意識すると、社会の抱える問題をクリアしていくサステナビリティな企業だと判断され、投資家の投資対象に選ばれやすくなります。

CASBBEE評価認証は、環境問題への配慮はもちろん、オフィスで働く人々の健康まで第三者が評価できるシステムなので、ESG経営を行う企業として投資家にアピールできるでしょう。

テナント賃料を高く設定しやすい

認証評価で環境性能や働きやすい環境だと評価を受けると、不動産価値も向上します。

環境に配慮されたテナントを借りる企業も、ESG経営に注力しているとアピールできるため、一般的なテナントよりも賃料を高く設定しても借り手がつきやすくなるでしょう。

 

CASBEE評価認証を受けるデメリット

評価認証を受けるデメリットは、コストがかかる点です。

例えば建築評価を利用する場合、建築物の延べ床面積や依頼する審査機関によって金額は異なりますが、40万円〜100万円程度の手数料が発生します。

用途が複数ある場合、100万円以上の手数料がかかるケースも少なくありません。

自己評価では手数料が発生しないため、コストよりもメリットが上回るかを考慮し、申請を検討するのが大切です。

また認証には、有効期限があります。

評価ツール 有効期間
CASBEE建築(新築)
CASBEE戸建(新築)
竣工日(竣工前の場合は竣工予定日)から3年
CASBEE建築(改修) 工事完了日(孤児完了前の場合は工事完了予定日)から3年
CASBEE建築(既存)
CASBEE不動産
CASBEEウェルネスオフィス
CASBEE街区
認証書交付から5年

 

引用:一般社団法人住宅建築SDGs推進センター「建築物総合環境性能評価認証制度要綱

 

認証結果を継続して利用するためには、再度審査が必須です。

 

CASBEEを評価する5つのツール

CASBEEは評価対象のスケールや評価したい内容によって、異なる評価ツールが用意されています。

引用:一般社団法人住宅建築SDGs推進センター「CASBEEの概要

 

上記の評価ツールを総称して、「CASBEEファミリー」と呼びます。ただし、すべてのツールが評価認証制度の対象というわけではありません。

たとえば住宅系は、CASBEE戸建(新築)のみ制度の利用が可能です。

 

CASBEE評価認証制度の申請方法

ここからは、実際に認証制度を申請する際の概要について解説します。

対象建築物

評価認証制度が利用できる建築物は、評価ツールごとに異なります。

 

評価認証 評価ツール 条件

CASBEE建築評価認証

CASBEE建築(新築・既存・改修)

延床面積300㎡以上の建築物
CASBEE戸建評価認証 CASBEE戸建(新築のみ)
CASBEE不動産評価認証 CASBEE不動産 施工後1年以上経過した建築物

CASBEEウェルネスオフィス評価認証

CASBEEウェルネスオフィス オフィスビルのみ
CASBEE街区評価認証 CASBEE街区

 

引用:一般社団法人住宅建築SDGs推進センター「CASBEE評価認証制度

適用対象用途

評価認証の適用対象用途も、評価ツールで異なります。

建築評価認証の適用対象用途は、下記の通りです。

 

用途名 含まれる用途
事務所 事務所・図書館・博物館・庁舎・郵便局等
学校 小中学校・高等学校・大学・専修学校等

飲食、物販店

飲食店・食堂・百貨店・マーケット等
工場 工場(生産エリアは除く)・倉庫・車庫・卸売市場等
集会所 公会堂・集会場・体育館・映画館等
病院 病院・老人ホーム等
ホテル ホテル・旅館等
集合住宅 集合住宅

 

また、CASBEE不動産の対象用途は、2025年1月時点では、オフィス・店舗・物流施設・集合住宅(複合用途を含む)のみで、CASBEEウェルネスオフィスはオフィス(事務所)を主な用途としている建築物が対象です。

評価ランク

CASBEEはツールによって、評価ランクの設定が異なります。

 

ツール ランク設定
CASBEE建築評価認証(新築) 5段階評価
CASBEE戸建評価認証 5段階評価
CASBEE不動産評価認証 4段階評価
CASBEEウェルネスオフィス評価認証 5段階評価
CASBEE街区評価認証 5段階評価

 

建築評価認証やウェルネスオフィス評価認証などは、S、A、B+、B-、Cの5段階評価で、Sが最高ランクです。

最低限の基準を満たしたランクが、B+とされています。

CASBEE不動産は、S、A、B+、Bの4段階で評価します。

最低ランクのBでも、環境性能の必須項目を最低限満たしていると判断可能です。

評価方法

評価はツールを用いて実施するのが基本ですが、この評価を行うのは、CASBEE評価委員登録制度要綱第9条で決められたCASBEE建築評価委員に登録された者であるのが条件です。

申請者は評価結果と必要書類を審査機関に申請し、審査機関が内容を審議、承認します。

申請から認証までの流れ

申請から認証までの基本的なフローは、下記の通りです。

  1. 申請者がCASBEEによる申請建築物の評価を行う(CASBEE建築評価員が実施)
  2. 申請者が審査機関に事前相談を行う
  3. 申請者が審査機関に申請を行う
  4. 審査機関が申請内容を審査し、申請者に結果の通知を行う
  5. 申請者は結果の通知を確認し、必要がある場合は回答、修正、追加資料の提出を行う
  6. 審査機関が認証委員会による審議、承認を行う
  7. 審査期間が申請者に認証書の交付を行う
  8. 審査機関は認証内容を公表する

 

認証までには、大体2か月〜3か月程度かかるのが一般的です。

申請書類に不備があるほど、修正や再審査などの時間や手間がかかるため、短期間で認証を取得するためにはミスのない申請が重要だといえるでしょう。

引用:一般社団法人建築環境・省エネルギー機構「CASBEE建築評価認証

 

認証をされると、上記のような認証票が発行され、広告やカタログ、ホームページ等で使用できます。

赤い星マークは、建築物の評価ランクを表しています。

 

ランク 星の数
S(素晴らしい) ☆☆☆☆☆
A(大変良い) ☆☆☆☆
B+(良い) ☆☆☆
B-(やや劣る) ☆☆
C(劣る)

 

引用:一般社団法人建築環境・省エネルギー機構「CASBEE建築評価認証

環境性能について詳しくない人でも、一目でランクがわかる仕様となっています。

まとめ

建築物の総合的な環境性能を第三者機関が審査するCASBEE評価認証は、自己評価に比べて信頼性が高い制度です。

ESG経営を目指す企業としてのアピール材料になるので、企業価値や不動産価値を向上させたい場合に適しています。

また地球規模の環境課題に取り組むためにも、積極的に利用していくべきでしょう。

評価認証の取得には時間や手間がかかるため、負担を減らして設計業務などに集中したい場合は申請代行業者への依頼が便利です。

 

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