CASBEEあいちとは、環境性能を評価するCASBEE(キャスビー)の愛知県版(名古屋市を除く)です。
愛知県の一定以上の規模の建築物には、CASBEEあいちの届出義務があります。
近年、世界的に省エネやSDGsが注目されている中で、環境に配慮した建築物が増加しており、愛知県でも自治体の地域性や政策等を考慮した地域独自のCASBEE評価が用いられています。
本記事では、愛知県内の建築物に適用される「CASBEEあいち」の評価基準やメリットなどについて解説します。ぜひ参考にしてください。
なお、名古屋市は「CASBEE名古屋」があるので、名古屋市の建築物を対象とする場合は下記記事を参考にしてください。
参考:CASBEE名古屋とは?CASBEE名古屋についてCASBEEのプロが徹底解説
CASBEEあいち(愛知県建築物環境配慮制度)とは
CASBEEは、「Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency」の頭文字をとった言葉で、全国の建築物の環境性能を客観的に評価するために国土交通省によって定められたシステムです。
一方、CASBEEあいちとは、CASBEEをもとに愛知県の地域特性や関連する条例等を踏まえた基準を追加した愛知県独自の建築物環境総合性能評価システムになります。
CASBEEあいちを用いて総合的な評価をすることによって、より地域に適した建築物の評価を行うことが可能です。
そのため、愛知県は平成21年に総合的な環境性能に優れた建築物の普及を推進するために、CASBEEあいちによる建築物の評価を県に提出することを求める「愛知県建築物環境配慮制度」を創設しました。
なお、CASBEEについては下記の記事で詳しく解説しています。
CASBEEあいちに合わせて、CASBEEの取得も検討している人は合わせて確認してください。
参考:CASBEEとは?主な評価ツールの種類や仕組みなどを、わかりやすく解説!
CASBEEあいちの特徴
CASBEEあいちには、全国版のCASBEEをもとに地域特性等を考慮した「環境配慮重点項目」と「愛知県独自の評価基準」が追加されています。
愛知県では、環境配慮重点項目として以下の4点を重視した評価が行われます。
【愛知県環境配慮重点項目】
- 地球温暖化への配慮
- 資源の有効活用
- 敷地内の緑化
- 地域材の活用
また、愛知県独自の評価基準として、あいくる認定材(リサイクル資材)や愛知県にゆかりのある資材の使用が定められています。
CASBEEあいちでは、全国版CASBEEと比較して、上述の通り愛知県の地域特性や関連する条例等を踏まえた地域独自の評価が可能です。
CASBEEあいちの届出手続き
CASBEEあいちの届出手続きは、以下の流れで行われます。
【CASBEEあいちの届出手続きの流れ】
はじめに、CASBEEあいちを用いて建築主自身で所有する建築物の環境性能評価を行います。
次に、建築物の評価結果を建築環境配慮計画書にまとめ、関連書類とともに県へ提出します。工事着工の21日前が提出期日です。
書類提出後、提出した計画書や資料は愛知県によって内容チェックが行われます。建築物がCASBEEあいちの基準に満たないと判断された場合は、県が必要に応じて指導・助言・勧告を行います。
CASBEEあいちのチェックを通過すると評価ランクが決定され、県により建築物配慮計画書の一部が公表されます。
CASBEEあいちの対象建築物
愛知県では、床面積の合計が2000㎡を超える特定建築物の新築・増改築を行う場合、条例で届出が義務付けられています。
一方、床面積の合計が2000㎡以下の特定外建築物については、任意での計画書提出となります。
また、CASBEEあいちは、全国で初めて戸建住宅を対象としたCASBEEあいち【戸建】を開発し、運用しています。
そのため、愛知県では、戸建を含むすべての建築物がCASBEEあいちの審査対象となります。
ただし、名古屋市の一部建築物にはCASBEE名古屋が適用されるため、CASBEEあいちの対象外になります。
【CASBEEあいち対象建築物】
建築場所 | 床面積 | 届出 | 工事種別 |
名古屋市を除く愛知県内 | 【特定建築物】 2000㎡以上 | 義務 | 新築・増築・改築 |
【特定外建築物】 2000㎡以下 戸建て住宅 | 任意 | 新築・増築・改築 |
CASBEEあいちの手続きは専門家に無料相談しよう!
初めてCASBEEあいちの提出を行う場合は、専門家に相談することをおすすめします。
専門家に相談することで、提出の手順や必要書類などに関する手厚いサポートが受けられます。
また、現在の建築物のおおよその評価や届出によって得られる優遇も事前に分かるためお得です。
お問い合わせ、お見積もりは無料で対応しているため、CASBEEあいちについて詳しく知りたい方は、「環境・省エネルギー計算センター」へご相談ください。
CASBEEあいちの評価基準
CASBEEあいちの評価ランクは、「建築物の環境品質・性能」と「建築物の環境負荷」を計算して算出された「環境性能効率(BEE)」によって決定されます。
CASBEEあいちの評価ランクは、BEEの値によって、以下の5段階に分類されます。
建築物のランク | 評価 | BEEの数値 |
S | 素晴らしい | 3.0以上、Q=50以上 |
A | 大変良い | 1.5以上3.0未満 |
B + | 良い | 1.0以上1.5未満 |
B – | やや劣る | 0.5以上1.0未満 |
C | 劣る | 0.5未満 |
評価ランクは、建築物の環境性能に応じてSランクからCランクに分類されます。
これまでにCASBEEあいちで届出された建築物の評価事例を以下で紹介します。
CASBEEあいちの事例
下記にCASBEEあいちの3つの事例を紹介します。
届出はすべて公表されるので、対象建築物を所有している人は注意してください。
なお、CASBEEあいちの届出は「愛知県建築物環境配慮計画書(CASBEEあいち)の公表」にて公表されています。
トヨタテクニカルセンター下山4期施設(Sランク)
トヨタテクニカルセンター山下4期施設は、2023年10月に竣工予定の建築物で、Sランクを獲得しています。
トヨタテクニカルセンター山下4期施設がSランクの建築物として評価されたポイントには、以下の3点が挙げられます。
【トヨタテクニカルセンター山下4期施設の評価ポイント】
- 高断熱の外皮や日射制御により、温熱環境を考慮した快適な室内環境を計画している点
- ゆとりある階高により設備機器の更新性・保全性に配慮し、制震性能を高め安全性を向上させている点
- 地域インフラへの影響を考慮して地域と共生した施設となるよう計画している点
市営下原住宅(Aランク)
市営下原住宅は、愛知県春日市に2023年3月に竣工予定の住宅で、Aランクを獲得しています。
市営下原住宅がAランクの建築物として評価されたポイントには、以下の4点が挙げられます。
【市営下原住宅の評価ポイント】
- 外壁や内装仕上げは補修必要間隔が長いものを使用し、全ての階で階高にゆとりのある設計となっている点
- 植栽を設けて良好な景観を形成し、周囲のまちなみと調和した色合いとなっている点
- 生態系に悪影響を及ぼす外来種を使用していない点
- 十分な数の駐車場と駐輪場を設置しており、夏季の建築物に対する見付面積を小さくするように努めている点
河合塾学園真貴幼稚園(Bランク)
河合塾学園真貴幼稚園は、愛知県瀬戸市で2022年2月に竣工された建築物で、Bランクを獲得しています。
河合塾学園真貴幼稚園がBランクの物件として評価されたポイントには、以下の3点が挙げられます。
【河合塾学園真貴幼稚園の評価ポイント】
- 施設特性や運用形態に適切な室内環境を確保している点
- 節水、有害物質の排除に配慮した作りとなっている点
- 近隣の住宅環境の保全に配慮した施設外環境となっている点
CASBEEあいち届出のメリット
建築物のCASBEEあいち届出によって、環境面への配慮に加えて、2つのメリットを得ることができます。
- 光熱費の削減
- 住宅ローンの金利優遇が受けられる
ただし、CASBEEあいちの評価ランクに応じて建築物に対する優遇が異なるため、注意が必要です。
以下で、CASBEEあいち届出によって建築物が得られるメリットを確認しましょう。
光熱費の削減
CASBEEあいちでは、建築物のエネルギー消費量や断熱性能も評価の対象です。
そのため、評価ランクの高い建築物であるほど冷暖房の効率が上がり、光熱費削減につながる可能性があります。
CASBEEあいちでは建築物の環境性能が総合的に評価されているため、音環境・換気性能など住宅の住み心地を比較する際の指標とすることも可能です。
住宅ローンの金利優遇が受けられる
CASBEEあいち【戸建】で届出され評価ランクが決定した戸建住宅は、住宅ローンの金利優遇を受けることができます。
建築物の評価ランクによって金利優遇の幅は異なり、高ランクの建築物ほど有利な優遇を受けられる可能性があります。
CASBEEあいち【戸建】の届出による住宅ローンの金利優遇を行っている金融機関は、以下の通りです。
- あいち豊田農業協同組合
- 十六銀行
- いちい信用金庫
- 大垣共立銀行
- 蒲郡信用金庫
- 知多信用金庫
- 中日信用金庫
CASBEEあいちにかかる費用
CASBEEあいちの書類準備やデータ取得を自社で行う場合、費用はかかりません。
しかしながら、書類準備やデータ取得を自社で行うには多くの時間と労力がかかります。
多くの企業では、社内コストを削減するために代行会社に依頼することが多いです。
代行会社に依頼する場合は、申請代行手数料が必要です。
「CASBEEあいち」のような、CASBEE自治体の申請代行手数料の目安は数十万円程度で、建物の規模と用途の数で変わります。
具体的な金額を知りたい人は、一度当社へ無料相談を行ってください。
また、CASBEEの費用に関する詳細は下記の記事で詳細を解説しています。合わせて確認してください。
参考:CASBEEの費用はいくら?CASBEE代行でかかる費用の考え方について徹底解説
CASBEEあいちの届出が必要なら「環境・省エネルギー計算センター」へ無料相談をしよう!
環境意識の向上に伴い、建築物の総合的な環境対策が求められるようになりました。
環境性能と住み心地を結び付けて考える場合も多く、今後、環境性能が高いほど建築物の価値も高まっていく可能性があります。
そのため、CASBEEあいちで届出された建築物は、今後さらに得られるメリットが増加することが予想されます。
CASBEEあいちの届出が必要であれば、当社「環境・省エネルギー計算センター」へ無料でご相談ください。