日本における建築分野のエネルギー消費量は全体の3割を超えると言われており、建築分野が環境や経済に与える影響は大きくなっています。
こうした背景の影響もあり、建築物の省エネ性能を表す日本独自の評価・表示制度であるBELSが作られました。
今回はそのBELSについて、評価項目や取得の流れまで詳しく解説します。
BELSとは?
BELSは「建築物エネルギー性能表示制度」の略称で、建築物の省エネルギー性能に関する評価・表示を行う制度です。
建築物の「エネルギー消費性能」「断熱性能」に基づき、第三者評価機関によって省エネルギー性能が評価されます。
エネルギー消費性能を見える化することで、第三者評価機関による建築の適切な評価に基づく消費者の選択と、建築物におけるエネルギー消費性能の表示制度の普及促進を目的としています。
BELSを取得した建築物はグリーンビルとして差別化につながり、ひいては市場における建築物のエネルギー消費性能向上が期待されています。
対象の建築物
BELSは新築・既存建築物のどちらも取得可能です。
他にも建築物の環境性能を評価するシステムは、取得できる建築物の用途が限られている場合もありますが、BELSは住宅やオフィス、ホテルなど、すべての用途で取得することができます。
また、建築物全体に限らず、フロア単位またはテナント・室などの部分単位での評価を実施することができます。
さらに、BELSは省エネ適合性判定の審査手続きの過程で取得が可能であり、審査機関が同じであれば同時に取得することができます。
省エネルギー性能に特化していることもあり、主に建物図面において比較的少ない資料で申請ができることも特徴のひとつです。
BELSの評価項目
住宅の場合
①エネルギー消費性能
省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを星の数で表します。
②断熱性能
建築物の「熱の逃げにくさ」と「日射熱の入りやすさ」から算出した断熱性能を家のマークの数で表します。
③目安光熱費
住宅の省エネ性能と全国一律の燃料等の単価を用いて算出した1年間の光熱費の目安を表します。
④再エネ設備の有無
太陽光発電などの再エネ設備が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示が可能です。
⑤ZEH水準
エネルギー消費性能3以上かつ、断熱性能5以上を達成すると、チェックマークが入ります。実際にZEHを取得している必要はなく、水準を満たしてれば自動的に付きます。
⑤ネット・ゼロ・エネルギー
ZEH水準の達成に加えて、太陽光発電の売電分も含め、年間のエネルギー収支がゼロ以下を達成すると、チェックマークが付きます。
非住宅の場合
①エネルギー消費性能
省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを星の数で表します。
②ZEB水準
エネルギー消費性能において、事務所等の用途の場合は星 5 つ、病院等の用途の場合は星 4つで達成となります。国の誘導基準にもなっています。実際にZEBを取得している必要はなく、水準を満たしてれば自動的にチェックマークが付きます。
③再エネ設備の有無
太陽光発電などの再エネ設備が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示が可能です。
④ネット・ゼロ・エネルギー
ZEB水準の達成に加えて、太陽光発電の売電分も含め、年間のエネルギー収支がゼロ以下を達成すると、チェックマークが付きます。
エネルギー消費量の削減率の評価
国が定める省エネ基準から、どの程度消費エネルギーを削減できているかを見る指標であるBEIを星の数で表します。
再エネ設備のない住宅の場合:「30%以上の削減率」を上限とした 5 段階評価
再エネ設備がある住宅および非住宅:「50% 以上の削減率」を上限とした 7 段階評価
省エネ基準は星1つ以上、誘導基準は星 3つ以上となります。
※ただし、大規模非住宅の場合、工場等は25 %以上削減、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等は20 %以上削減、病院等・飲食店等・集会所等は15%以上削減することで省エネ基準達成となります。
国土交通省「事業者向けガイドライン概要版資料」より引用
断熱性能の評価
断熱性能は家のマークで表します。
UA値とηAC値のそれぞれについて地域区分に応じた等級で評価し、いずれか低いほうの等級を表示します。
国土交通省「事業者向けガイドライン概要版資料」より引用
BELSを取得するメリット
省エネ性能が分かりやすい
星6つまでの7段階で性能を表示することで、建築や設計に詳しくない人でも一目で建築物の省エネ性能が分かります。
また、エネルギー消費量の削減率や省エネ基準を満たしているかどうかもすぐに分かります。
不動産価値の向上
BELSを取得することで、環境に配慮した建築物として評価されます。
省エネ性能に優れていることで、光熱費を削減でき、快適な住環境を実現できます。
そのため、賃料や入居率の向上を見込めるなど、資産価値が高まる可能性があります。
補助金や助成金の申請に役立つ
BELSは補助金によっては必須となっている場合があり、その場合は申請する際にBELS評価書が必要となります。
また、フラット35や住宅ローン控除などにも活用することができます。
ZEBやZEHとの違いは?
ZEBやZEHはBELSで特定ランク以上の省エネルギー性能が必要となり、かつ太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用する、いわゆる「再エネ」も考慮に入れる必要があります。
そのため、ZEBやZEHはBELSの上位互換と言って差し支えありません。
BELS取得の流れ
BELSを取得する大まかな流れは以下の通りです。
①BELS申請書類を準備
②BELS評価機関に審査依頼
※登録機関は一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページで検索可能
③評価書等の発行
計算に必要な図面資料をお渡しいただくだけで、「環境・省エネルギ―計算センター」に丸ごと依頼することが可能です!
BELS評価の際に申請な書類
BELS申請書類 |
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BELSに係る評価申請書 |
設計内容(現況)説明書 |
申請添付図書 ・付近見取図 ・配置図 ・仕様書 ・各階平面図 ・床面積求積図 ・立面図 ・断面図 ・各部詳細図 ・機器表 ・設備仕様書 ・設備平面図 ・制御図 等 |
一次エネルギー消費量および外皮計算書 |
BELSに係る評価物件 掲載承諾書 |
その他必要な書類 (外皮計算根拠資料、改修前のBEIに関する書類等) |
BELS取得のことなら「環境・省エネルギ―計算センター」にお任せください!
政府は2050年カーボンニュートラルをいう大きな目標を掲げています。
この実現に向け、2030年にはすべての新築建築物のZEB・ZEHレベルの省エネ性能確保、2050年までに建築物のストック平均でZEB・ZEHレベルの省エネ性能の確保を目指しています。
そのため、BELSの取得は近い将来に取得が必須となる可能性が高いです。
「環境・省エネルギ―計算センター」では、BELSの申請代行、評価に必要な省エネ計算業務を行っております。
お急ぎの場合も柔軟に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
※専門的な内容となりますので、個人の方は設計事務所や施工会社を通してご相談された方がスムーズです。