ZEBの補助金はあるのか、あるとしたらどのような補助金が用意されているのかお調べですね。
結論からお伝えすると、ZEBを対象とした補助金制度はあります。また、ZEB取得にあたり、ZEBの補助金を活用することで多くのメリットを受けることができます。
ただし、補助金にはいくつかの種類があり、それぞれ補助対象や補助率が異なるので注意が必要です。
この記事では、令和4年度に実施されている補助金制度について解説します。ぜひZEBの補助金制度について理解して、有効活用してください。
なお、本記事の情報は2022年の8月時点の情報であるため、最新の情報が知りたい方は各団体に問い合わせてみてくださいね。
ZEB(ゼブ)とは?
ZEB(ゼブ)は、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称です。
ZEBとは、快適な室内環境を実現しながら、建物における年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロにすることを目指した建物を指します。
一次エネルギーの消費量をゼロにすると考えると、省エネに対する工夫を想像するかと思います。しかし、ZEBでは、高効率な設備システムの導入などによって「省エネ」対策を行った上で、再生可能エネルギーの導入などにより「創エネ」を行うことで、エネルギー消費量を実質ゼロにすることを目指しています。
ZEBとは「省エネ」と「創エネ」の2つの工夫によって実現するものです。
出典:環境省「ZEBの種類」
ZEBについて詳細を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
参考:ZEBとは?取得のメリットや事例紹介、補助金制度についても専門家が徹底解説。
ZEBは4つの種類ある
ZEBはゼロエネルギーの達成状況に応じて、次の4つに分けることができます。
- ZEB(ゼブ)
- Nearly ZEB(ニアリー ゼブ)
- ZEB Ready(ゼブ レディ)
- ZEB Oriented(ゼブ オリエンテッド)
ZEBとは、「省エネ(50%以上)+創エネ」で一次エネルギー消費量が正味ゼロもしくはマイナスを実現している建物のことです。
Nearly ZEBは、ZEBに限りなく近い建物として、「省エネ(50%以上)+創エネ」で一次エネルギー消費量を75%以上100%未満に削減している建物を指します。
ZEB Readyは、ZEBを見据えた先進建物として、省エネにより一次エネルギー消費量を50%以上削減している建物のことです。
ZEB Orientedは、延べ面積が10,000㎡以上の建物において、省エネにより用途ごとに規定した一次エネルギー消費量を削減、さらなる省エネに向けた未評価技術を導入している建物のことです。ZEB Readyを見据えた建物として位置づけられています。
ZEBの各種類について詳細を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
参考:ZEBの種類や特徴とは?BELSとの違いについても専門家が詳しく解説
ZEBの補助金
上記、ZEBを獲得するにあたって、日本では複数の補助金制度が設けられています、
令和4年度に実施されているZEBの補助金制度は、次の3つです。
- 〈環境省〉新築建築物のZEB化支援事業
- 〈環境省〉既存建築物のZEB化支援事業
- 〈経産省〉住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業
それぞれ補助対象や補助率が異なる為、順番に解説します。
〈環境省〉新築建築物のZEB化支援事業
新築建築物のZEB化支援事業は、新築の業務用施設のZEB化に向けた高効率設備などの導入を支援するため、補助金を給付するものです。
補助対象は民間事業者・団体と地方公共団体で、実施期間は令和5年度までと定められています。
この事業は、次の2つに分類されます。
①レジリエンス強化型の新築建築物ZEB化実証事業
②新築建築物のZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業(経済産業省連携)
補助率は、事業の分類や延べ面積に応じて決まり、①に該当する場合の補助率は2分の1〜3分の2以内、②に該当する場合は3分の1〜5分の3以内となっています。
補助金の上限はいずれも5億円です。
延べ面積 |
補助率 | |
① | ② | |
2,000㎡未満 | ZEB:2/3 Nearly ZEB:3/5 ZEB Ready:1/2 |
ZEB:3/5 Nearly ZEB:1/2 ZEB Ready:補助対象外 |
2,000㎡〜10,000㎡ | ZEB:3/5 Nearly ZEB:1/2 ZEB Ready:1/3 |
|
10,000㎡以上 | 地方公共団体のみ対象 補助率は同上 |
地方公共団体のみ対象 ZEB:3/5 Nearly ZEB:1/2 ZEB Ready:1/3 ZEB Oriented:1/3 |
〈環境省〉既存建築物のZEB化支援事業
既存建築物のZEB化支援事業は、既存の業務用施設のZEB化に向けた高効率設備などの導入を支援するため、補助金を給付するものです。
補助対象は民間事業者・団体と地方公共団体で、実施期間は令和5年度までと定められています。
この事業は、1つ目の補助金「新築建築物のZEB化支援事業」と同様に、次の2つに分類されます。
①レジリエンス強化型の既存建築物ZEB化実証事業
②既存建築物のZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業(経済産業省連携)
①②ともに補助率は3分の2以内で、補助金の上限はいずれも5億円です。
延べ面積 |
補助率 | |
① | ② | |
2,000㎡未満 | ZEB:2/3 Nearly ZEB:2/3 ZEB Ready:2/3 |
ZEB:2/3 Nearly ZEB:2/3 ZEB Ready:補助対象外 |
2,000㎡〜10,000㎡ | 地方公共団体のみ対象 補助率は同上 |
地方公共団体のみ対象 ZEB:2/3 Nearly ZEB:2/3 ZEB Ready:2/3 |
10,000㎡以上 | 地方公共団体のみ対象 ZEB:2/3 Nearly ZEB:2/3 ZEB Ready:2/3 ZEB Oriented:2/3 |
〈経産省〉住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業
住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業は、ZEB化を中心に、民生部門の省エネ投資を促進するための補助金を給付するものです。
実施期間は令和7年度までを予定しています。
補助対象となる建築物は、ZEBの設計ノウハウが確立されていない民間の大規模建築物(新築:10,000㎡以上、既築:2,000㎡以上)です。
補助率は、集合住宅で補助対象経費の3分の2以内となっており、戸建であれば定額(固定の金額)となっています。
まとめ:ZEB補助金の補助対象や補助率
令和4年度時点では、環境省と経済産業省の補助金を活用することが可能です。
ここまで解説した3つの補助金について、以下の表にまとめます。
延べ面積 |
環境省 | 経産省 | ||
新築 | 既存 | 新築 | 既存 | |
2,000㎡未満 | 1/2〜2/3 | 2/3 | 対象外 | 対象外 |
2,000㎡~10,000㎡ | 1/3〜2/3 | 地方公共団体のみ | 対象外 | 戸建:定額 集合:2/3 |
10,000㎡以上 | 地方公共団体のみ | 地方公共団体のみ | 戸建:定額 集合:2/3 | 戸建:定額 集合:2/3 |
補助金で押さえておきたいポイントは、延べ面積や団体の分類などによって使える補助金が変わってくる点です。
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この記事では、令和4年度に実施されている補助金制度について解説しました。
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